この針金ハンガーをカラスが集める様子の一部始終を、ある視聴者が目撃していました。


2年前の春の映像です。広島市内のマンションの17階です。住民によりますと、ふだんはあまり飛んでこないカラスですが、春はよく来るそうです。カラスは、すでに針金ハンガーをくわえています。

次の映像です。


まずは黒い服をつつきますが、ハンガーごと落としてしまいました。すると、今度はピンクの針金ハンガーにかかった白っぽい服をつついて、落としました。そして、ものほしざおにひっかかったハンガーを器用にはずして、飛び立ちました。

いつもベランダに洗濯物が落ちているのを不思議に思っていた住民は、ハンガーが目当てだったと初めて知るとともに、カラスの器用さに驚くばかりだったそうです。後に残ったのは、再び汚れてしまった洗濯物…。撮影した住民は、また洗うしかなかったということです。


こういった現象について、詳しい話をカラスの生態を研究して30年という専門家・東都大学の杉田昭栄教授に聞きました。


東都大学 杉田昭栄教授
― なぜ、針金ハンガーを使う?
「まずは巣の素材として適した重量感、細工のしやすさ、さらには身近に手に入りやすいものになっているということです。」

さらにカラスという種は体重の割に脳が大きいため、非常に賢くて、学習するだけでなく、新しいアイデアを考え出すことさえできるんだそうです。


杉田昭栄教授
「最初は近づいて、いじってみるとか、観察していたはず。そのうち、くわえて運べる重さであることがわかったし、次には洋服がかかっていても必要な分だけ持ちだそうとするのは、1つの思考プロセスとしてはカラスでは成り立つ。」