H3ロケット初号機は午前10時37分55秒に種子島宇宙センターから打ち上げられました。ロケットは発射台から飛び立ったものの、打ち上げから約15分後、第2段ロケットが着火せず、地上からの指令破壊信号によって破壊され、打ち上げは失敗しました。

■H3打ち上げの様子

■打ち上げ直前のH3

H3ロケット 7日午前10時

午前10時20分ごろ 「世界一美しいロケット発射場」と呼ばれる種子島宇宙センター




■0.4秒前に中止「今度こそ」

2月17日午前10時37分に予定されていた最初の打ち上げ。H3ロケットは電気系統のトラブルで補助ロケットSRB-3に着火せず、最終カウントダウンで0.4秒前に打ち上げ中止となりました。

「今度こそ」の思いを乗せて、3月7日午前10時37分55秒の“再”打ち上げに臨むH3ロケットは、6日午後4時すぎに大型ロケット組立棟から姿を現し、発射点に向かいました。

射場に移動した後も、打ち上げ中止の原因となった電力供給停止を防ぐためのプログラムが正常に動作するかなど対応策の確認作業が進められ、6日夜、最終検証の結果も良好と判断されました。


【H3ロケットとは】


H3は、次世代の宇宙開発の主力を担う日本の新型基幹ロケットです。

日本の打ち上げ技術の礎を築いたHシリーズのロケットとしては、2001年のH2A以来、22年ぶりです。

低コスト高性能を追求して2014年から開発が進められてきたH3が、数々の苦難を乗り越え、打ち上げに臨みます。

H3ロケット 6日午後4時半ごろ

【H3の重要性…日本の基幹ロケットの歴史とミッション】

ロケットの主な役割は、宇宙へ衛星を輸送すること。

国は基幹ロケットを「安全保障を中心とする政府ミッションを達成するために不可欠な輸送システム」と定義しています。

種子島宇宙センターで日本の打ち上げ技術の礎を築いたHシリーズは、初代のH1が1986年に、2代目のH2が1994年に、そして3代目となるH2Aは2001年に初号機が打ち上げられました。

H1ロケット初号機(1986年8月打ち上げ 鹿児島・種子島宇宙センター)
H2ロケット初号機(1994年2月打ち上げ 鹿児島・種子島宇宙センター)

これまでに気象衛星「ひまわり」、小惑星探査機「はやぶさ2」、政府の「情報収集衛星」、カーナビの位置取得などに使われる準天頂衛星「みちびき」がHシリーズの基幹ロケットで打ち上げられてきました。

小惑星探査機「はやぶさ2」(2014年12月打ち上げ 鹿児島・種子島宇宙センター)





現在の基幹ロケット・H2Aの後継となるH3は、Hシリーズとして22年ぶりの新型ロケットとなります。

H2Aロケット46号機(2023年1月打ち上げ 鹿児島・種子島宇宙センター)

【今の打ち上げ費用は約100億円 成功率の「明」と費用の「暗」】

H2Aはこれまで46機中45機で打ち上げに成功し、成功率は97.8%と世界最高水準を誇ります。

一方、打ち上げ費用は約100億円と、世界水準より3割ほど高いのが現状です。

この課題をいかに克服するかがH3開発のミッションでした。