【タービンにヒビ…振動の不具合…打ち上げ延期に】
H3の心臓部・LE-9エンジンは、2020年5月の燃焼試験で燃料供給に使われるタービンにヒビが見つかるなどして、2020年度に計画されていた打ち上げが2021年度に延期。
さらに、改善策を検討する試験で、タービンに不具合となる振動が確認されたことから、打ち上げは2023年度に再び延期となりました。
組み立て担当の坂中さんも新型エンジンの生みの苦しみに直面しました。
(三菱重工業・坂中志朗さん)
「エンジンが壊れた経験があまりなかった。H3のLE-9は繊細なエンジンだと改めて実感した。」
打ち上げが2年遅れるということは、日本の宇宙開発が遅れることを意味します。
しかし、坂中さんらロケット技術者たちは、延期もエンジンの確実性を上げる準備期間と前向きにとらえました。
(三菱重工業・坂中志朗さん)
「正直、延期で良かった。より確実な壊れないエンジンができる。これ言ったらちょっと駄目なのかもしれないですけど、そのおかげでより確実な壊れないエンジンができるんで。」

三菱重工業をはじめ、エンジンに関わる様々な企業や人の努力もあり、エンジンの不具合は解決。
そして、完成したメインエンジンLE-9は、推力がH2Aのメインエンジンの1.4倍にパワーアップし、150トンまで持ち上げられる高性能化も実現しました。
【2度の打ち上げ延期からの燃焼試験】
H3の機体は2021年1月に、製造された愛知県の工場から種子島宇宙センターに運び込まれました。