知床半島沖で26人が乗った観光船が消息を絶ってから3日目。捜索が難航しているのはなぜなのか?海上保安庁の現場トップ・海上保安監などを歴任した伊藤裕康さんに聞きました。
■一体何が?事故当日、“陸ぎりぎり”を進む観光船

小川彩佳キャスター:
事故当日の観光船の映像からどんなことを読み解きますか?
伊藤裕康 元海上保安監:
運航のスケジュールの可能性もあると思うんですけれども「比較的早いスピードで回っている」「陸に沿って走っている」と。この映像までは順調に走っているという印象を受けています。陸ぎりぎりのところはかなり浅瀬もありますし、風が吹いてくると非常に危ないと思います。
■11人死亡・15人安否不明、船も見つからず…“水深100mの地形”が捜索阻む

小川キャスター:
知床半島沖で26人が乗った観光船が消息を絶った事故から25日で3日目ということになります。これまでの捜索で11人の死亡が確認され、依然15人の安否が不明な状態です。いずれも知床岬の近くや知床岬の東で見つかっているのですが、捜索が難航しているのはどうしてなのでしょうか?
伊藤 元海上保安監:
この辺は非常に潮流も強いですし、捜索からもう3日目になって時間も経っているということで、かなり乗員・乗客が広く流されていると見ています。船の中に取り残されている方もいる可能性もあります。

小川キャスター:
船自体も見つかっていませんが、これはどうしてなのでしょうか?
伊藤 元海上保安監:
まず、この船が消息を絶った正確な位置がはっきりしていないということです。それから、この辺の地形が非常に急峻な海底になっていまして、深いところでは約100mあるということで捜索が難航していると思います。
■事故2日前に安全点検実施 船底の傷は点検されず

小川キャスター:
では、なぜ事故が起きてしまったのかというところです。網走海上保安署によりますと、事故2日前(21日)に、今回事故を起こした船の船長立会いの下、安全点検が行われたということです。点検したのは、船体のほか救命具やGPS装置などだということです。しかし、船体に関しては、海に船が浮かべられている状態で船を点検しているので、船底のチェックはされていないということなんです。この安全点検というのは通常いつごろ行うものなのでしょうか?
伊藤 元海上保安監:
海上保安庁では、行楽シーズンの前に、特に旅客船に対しては救命設備などがちゃんと備えられているかについて点検をしているところです。これは全国的に行っています。
小川キャスター:
船底の確認・点検はこの安全点検には含まれないということなんですね?
伊藤 元海上保安監:
これは水面より上の部分、船内ですね。
小川キャスター:
船底に過去の座礁事故の影響が残ったまま出航した可能性はあるのでしょうか?
伊藤 元海上保安監:
もしこの船長が安全に非常にしっかり取り組んでいるならば、そういう状況で出航することはあり得ないと僕は思っています。

















