2023年1月4日、三重・伊勢神宮での年頭会見で“異次元の少子化対策”への挑戦を大々的に打ち出した岸田総理。具体策としていの一番にあげたのが「児童手当」など経済支援の強化だった。自民党の茂木幹事長も「所得制限の撤廃」を提案するなど、「児童手当」の拡充に向けて政府与党は、ついに重い腰を上げたかに見える。
その一方で―
最近、“経済的支援への期待が膨らみすぎている”との警戒感が、総理周辺で広がっているのだ。果たして、所得制限の撤廃など児童手当の拡充は本当に実現できるのだろうか。

“所得制限撤廃は実現可能性高い”との見方も
児童手当の拡充に向けた大きな論点は3つある。
(1)所得制限の撤廃 (2)多子世帯への増額 (3)18歳までの支給年齢引き上げ
中でも、今、政治的な注目を集めているのが所得制限の撤廃だ。きっかけは自民党の茂木幹事長の発言だった。
「所得制限を撤廃するべきと考えます」(自民党・茂木幹事長)
1月25日の衆議院本会議。政策の決定に影響力をもつ茂木幹事長の訴えに、議場はどよめいた。「幹事長なのだから、総理と握っているのでは」。政府与党内には2人が水面下で打ち合わせし、方向性がすでに決まっているとの見方も広がった。
さらにある政府関係者は、「所得制限の撤廃だけ、ということはない。撤廃するときは、必ず他のメニューとセットになる」と話す。
つまり所得制限をなくすときは、多子世帯への増額や支給年齢の引き上げなど、何らか別のものと“合わせ技”になるというのだ。その理由についてはこう解説する。
「所得制限を撤廃しても、“元に戻っただけ”と思われるし、高所得者以外には恩恵がない」
政府は昨年10月、年収1200万円相当以上の高所得者に対し、5000円の特例給付を打ち切ったばかり。つまり所得制限の撤廃だけでは、元に戻っただけで「児童手当の拡充とはいえない」との考えだ。
ただ、最大の問題は児童手当の拡充に伴う財源をどう確保するかだ。
