「もう消費税は触れない」…児童手当への課税論も

児童手当の拡充に必要な財源は、 所得制限の撤廃だけでも数千億円規模だ。
政府与党内には「一気に所得制限を全廃とはならないのでは」「段階的にしか実施できないのでは」などと、“財源への不安”から慎重な声も相次いでいる。

ある閣僚はこう訴える。
所得制限をなくすのなら、児童手当に課税するべきだ。そうでないと、低所得者からの理解が得られない。財源がいくらでもあるならいいが、そうはいかないだろう」

実際、財源にはどんな選択肢があるのだろうか。ひとつは消費税の増税だ。

ただ、年明け、自民党の甘利前幹事長が”将来的に消費税の増税も検討対象となる“との認識を示し世論の反発を浴びたばかり。同じ閣僚はこう嘆息する。
「もう消費税には触れなくなった。しかし本当に財源がないのに、どうするつもりだろう」
こうした状況で、政府与党による財源の議論は後回しになっている。

「今年のうちには財源まで示せない」

4月の統一地方選より前に、財源の議論をするのは絶対に無理だ」(政府関係者)
統一地方選は4年に1度、各地で一斉に行われる、知事や市区町村長、議会の選挙だ。その結果は国政にも大きく影響する。防衛増税への世論の反発も強く、国民にさらなる“増税”を想起させるような下手な動きは、政府与党は絶対に避けたいところだ。

岸田総理は「6月の骨太の方針(国の経済財政政策の基本方針を示す文書)で将来的なこども・子育て予算の倍増に向けた大枠を提示する」としているが、この骨太の方針で、具体的な財源が示されるのかも不透明だ。総理の側近の1人は実際、こう話している。

「今年のうちには財源まで示せないと思うし、その必要もない」

与党内には、岸田総理は「異次元の少子化対策」と打ち上げてはみたものの、結局、看板倒れに終わるのではないかとの懸念も膨らんでいる。少子化対策に関わる自民党の議員は「言葉が踊ってるときには中身が無いことが多い。心配している」と漏らした。