■衰退したはずの「ローラースケートリンク」約80年ぶりにNYの名所に


ポップな音楽に合わせて軽やかにリンクで踊るカップルもいれば、足下がおぼつかない様子で、立つのもやっとの男性も。5歳くらいの男の子はお母さんよりもスムーズにリンクを駆けていく。

ニューヨークの観光名所・ロックフェラーセンターに、4月15日、ローラースケートのリンクがオープンした。実に82年ぶりのことだ。ニューヨークでは、ジョン・F・ケネディ国際空港に併設するホテルでも、屋外ローラースケートリンクが新たにオープンした。

4月15日にオープンしたNY・ロックフェラーセンターのリンク


アメリカのローラースケート人気は、1970ー80年代にディスコブームと相まって最高潮に達していた。しかしブームが去ったあと、特に郊外では地価の上昇の影響などを受け、スケートリンクはどんどん姿を消していった。ニュースメディア「デイリーニュース」によると、全盛期の1980年代には全米で2000か所のリンクが営業していたが、2016年には半分の1000か所ほどにまで減ったという。ところが一転、全米で今、人気が急上昇しているというのだ。人気復活の秘密は何なのか。

■“コロナ禍×SNS”で生まれたブーム

新型コロナの感染が全米で爆発的に拡大した2020年4月、「ステイアットホーム」が呼びかけられた中で、感染リスクが低く屋外で楽しめる運動として注目されたのがローラースケートだった。

さらにブームの後押しに大きな役割を果たしたのがSNSだ。女優のアナ・コトさんが2020年4月TikTokに投稿した、ローラースケートを楽しむ動画は180万回以上再生。このほか、#rollarskatingのハッシュタグが付いたビデオ投稿は74億回も再生されていることが確認できる。こうして復活を遂げたローラースケート人気だが、“黒人文化の象徴の一つ”という側面を持っていることは、あまり知られていないように思える。