英軍人の「腕時計貸して」の一言に俄然奮起の秋山さん
秋山さんは東京ではヘビースモーカーで知られていましたが、星の街入りしてからは医者に言われてずいぶん禁煙をがんばられたと思います。週末たまにモスクワ支局で一緒になると、大好きな「Peace(ピース)」を吸っている姿も見かけましたが、ご愛敬のうちです。
お酒も、普段は禁酒。しかしロシア人とはウォッカを酌み交わしてこそいい付き合いができるという風潮がありましたから、そこは心得て、パーティーなどでは飲むのも踊るのもとてもノリがよかったです。ロシアの人は踊るのも大好きなのです。新年パーティーで秋山さんと一緒に「寒波おじいさん(サンタクロースみたいなもの)」と「雪娘」に扮した際には、ロシア語で「新年おめでとう!!」と明るい大声を発し、会場を大いに沸かせました。
体力作りも怠りなく、身体が引き締まって10kgくらい痩せたと思います。ジムで腕まくりをし、硬そうな力こぶをテレビカメラに披露したこともありました。あらゆることに100%以上の努力をするのが秋山さんです。
ひとつ印象的な場面がありました。
体育の授業で5kmにわたるクロスカントリー・スキーをした時のこと。イギリス人の二人の訓練生も一緒でした。スタート前にその一人、ティムが秋山さんに「腕時計を貸してください、タイムを計りたいので」と言いました。秋山さん、貸してはあげたのですが、スタートからデッドヒート、ティムにぴったりついて“漕ぎ”続けます。秋山さんのスキーは脚で「滑る」というよりも、腕とストックで体を前へ押し出すから、「漕ぐ」です。そしてゴール寸前でティムが転んだところを秋山さんが猛ダッシュして一着でゴールイン!
「時計貸してくれって言われて、そうか、オレには必要ないだろうってことだなと思ったら、俄然奮起しちゃったんだよな」。挑発に乗りやすいのだそうです。
ティムは当時34歳。イギリス陸軍航空隊少佐、ヘリコプターパイロットでフリーフォールパラシュートの全英チャンピオン。小柄で優しい風貌ながら彼も相当な負けん気の持ち主でした。そのティムと5kmのデッドヒートを繰り広げて47歳の秋山さんが勝ったのです。誰にも負けまいとする意志の強さは、秋山さんを突き動かす原動力だったように思います。














