核で脅せば攻撃してこない「核抑止」はフィクション?

2023年、広島選出の岸田総理が議長を務めたG7広島サミット。発表された「広島ビジョン」で核兵器は「防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止」と「核抑止論」を肯定する表現が盛り込まれ、被爆者らを失望させました。

2023年、平和記念式典の場で、当時の広島県知事、湯崎英彦さんは…

広島県 湯崎英彦 知事(2023年)
「万が一、核抑止が破綻した場合、地球上の全ての命に対し責任を負えるのですか」

そして、2025年は…

広島県 湯崎英彦 知事(2025年)
「核抑止がますます重要だと声高に叫ぶ人たちがいます。しかし、本当にそうなのでしょうか。抑止とは、あくまで頭の中で構成された概念、または心理、つまりフィクションであり、万有引力の法則のような普遍の物理的真理ではない」

「核抑止はフィクション」、つまり非現実的だと語った真意は何か、湯崎前広島県知事に改めて尋ねました。

湯崎英彦 前広島県知事
「歴史的にみても、多くの自信過剰なリーダーが戦争を仕掛けて、非常に大きな被害を被ってしまうということはずっと起きている。むしろ非合理的なリーダーは結構出てくる。そういう中で、核抑止が常に機能するという考え自体が、現実的じゃない」

実は、かつては米ソのリーダーによる合理的判断によって、ある程度「核抑止」が機能したと思える時代がありました。

冷戦期、核戦力が均衡していた米ソは、互いの首都に届く長距離核ミサイルを保持。それによって、ひとたび使えば、破滅的な結果を招く核の使用を、双方に思いとどまらせます。

その一方で、開発競争が続いていた中距離核ミサイルについては削減交渉を進め、1987年、中距離核戦力全廃条約を締結。

1988年には、ソ連の核ミサイルが廃棄される様子が見られ、条約締結によって、両国で核兵器の廃棄が実際行われたのです。