前人未到の挑戦 53kg級から57kg級への階級変更
パリ五輪で頂点に立ったわずか3か月後、藤波は大きな決断を下した。階級を53kg級から57kg級へ引き上げることだ。その真意について藤波は次のように明かした。
「53kg級で五輪チャンピオンになることができたので、今度は57kg級での五輪チャンピオン、世界チャンピオンになりたい。2階級を獲りたいという思いがあります。階級を上げての2連覇を成し遂げた選手はいないと聞いたので、大変なチャレンジになるとは思うんですけど、挑戦したいと思って決断しました」

過去、オリンピックで2階級を制した日本人選手は伊調馨(63kg級から58kg級へ)と川井梨沙子(63kg級から57kg級へ)の2人がいるが、いずれも階級を「下げて」の偉業だった。階級を「上げて」連覇した者は、日本のレスリング史上1人も存在しない。
階級が上がることによる体の変化について藤波は「相手から自分への力の伝わり方も4kg変わるとかなり違うなと感じます。階級を上げたからトレーニングして力をつけて(対抗する)という時期もあったけど、今の体をどう使うか、あの時の強みをぶらさせずに挑戦していきたい」と語る。男子選手との練習を増やしたのも、フィジカル面だけでなく「キツいところでもう1つ力を出す」というメンタル面を鍛えるための対策だった。

















