フォール負け寸前の危機と、勝って流した涙の理由
階級を上げて臨んだ2025年12月の全日本選手権。公式戦149連勝で挑んだ藤波は、世界選手権5位(当時)の徳原姫花(24)と対戦した。
第1ピリオド残り33秒、藤波のタックルが返され、まさかの逆転を許す(1-2)。さらにフォール負け寸前まで追い込まれる絶体絶命のピンチを迎えた。しかし、後がない第2ピリオド、相手を場外に出して1ポイントを獲得すると、続くタックルで2ポイントを奪い返して逆転に成功(4-2)。連勝記録を「150」に伸ばし、階級転向後初の全日本優勝を果たした。
試合後の会見で、藤波は涙を流した。
「めっちゃ負けるの怖いですし…ここで泣くのは変なんですけど。勝って当たり前と思われているなかで負けたら全てが崩れるし、怖さはあるんですけど……」
圧勝し続けてきた王者が見せた涙の理由とは。

「あの涙が出たのは自分自身もビックリでしたし、いろんな感情が合わさった涙だったと思う。あの天皇杯(全日本選手権)の前は今まで感じたことがないくらい怖くて、負けられないという自分が強かった。優勝はしたけれど試合内容も含めて悔しい涙でもありました」
連勝記録を重ねるほど大きくなる重圧。それにどう向き合っているのかという石川の問いに、藤波は自らの原点を明かした。
「悩む時期もあったんですけど、『負けは人よりも重い』と間違いなく感じています。ただ、それ以上に自分がなぜレスリングをやっているかと言ったら『強くなりたい』『見たことない景色を見てみたい』という理由なので。昨日より今日、今日より明日強くなっていくことを意識するとモチベーションを保てます」

負けた経験がない中でどのように成長の糧を見つけるのかという問いに対しても、「練習では全然負けますしポイントを獲られるので、練習の中での課題はたくさんあります。試合で勝ったとしても、完璧な試合を今までしたことはないので。勝ち負けよりも理想とするレスリングに近づけていきたいので、課題はいっぱいあります」と前を見据えた。

















