「迷惑」施設から経済的価値を生む施設に

佐賀市清掃工場は2003年から稼働している。世界初となるCO2の分離回収設備を整備したのは2016年だった。整備の背景には、市町村合併と清掃工場の統合があったと佐賀市環境部GX推進課政策推進室の古賀亮一主査が説明する。

「平成の大合併によって2005年から2007年にかけて1市6町1村が合併し、新しい佐賀市に生まれ変わりました。清掃工場は旧佐賀市の周縁部に建てられていたのですが、合併によって新しい佐賀市の中心部に位置することになりました。さらに、旧町村のごみ処理場の維持費がかかることから、他の3か所の処理場をこの清掃工場に統合する計画が立ち上がりました。

ところが、合併した佐賀市のごみが全部ここに集まることで、ごみ収集車の往来も増えますし、排ガスも多くなります。地元住民の方には迷惑施設と捉えられ、計画に反対する声も多く上がりました。とはいえ、この清掃工場は市民生活には不可欠な施設です。そこで少し発想を転換して、清掃工場を迷惑施設から価値を生み出す施設に変えられないだろうかと考えて、取り組みが始まったんです」

佐賀市環境部GX推進課政策推進室 古賀亮一主査

もともと佐賀市の下水処理施設である下水浄化センターでは、下水を生物処理する過程で発生する汚泥の肥料化やバイオマス発電を行なっており、また、有明海における海苔の不作の原因となる栄養源不足を補うため、窒素を多く含んだ処理水を、時期を区切って有明海に放流する取り組みも行なっている。下水を資源として活用するこの取り組みが形になったことが、現在の清掃工場の取り組みにつながっている。

清掃工場では、焼却炉の熱を利用した発電によって、公共施設や小・中学校に電力を供給している。この熱を産業にも利用してもらうとともに、これまで利用されていなかったCO2を資源に変えることで、地域に経済的な価値を生み出そうと考え、分離回収設備の開発が始まった。メーカーなどとともに約2年かけて開発し、世界で初めて実用化した。