出生率と住居費に見られる明確な相関関係

まずは、合計特殊出生率の都道府県別順位です。ランキングがある2023年のデータによると、上位は沖縄、長崎、宮崎、福井、佐賀などで、下位は東京、北海道、宮城、秋田など「西高東低」が顕著です。また、神奈川、千葉、埼玉など首都圏も軒並み40位以下で、京都や大阪なども含めて大都市圏はほぼ低く、これは1990年以降10年刻みで見ても、ほぼ同じ傾向でした。福岡は全国平均に近く、だいたい30位前後です。

同じ地方でも(都会ではない、という意味の「地方」です)、沖縄や九州が高く、東北が低いのは、若年人口の男女比が影響しているようで、九州・沖縄は女性の方が多く、東北は逆です。

背景には、東北では進学や就職などで東京などに転出するのは、男性より女性のほうが多いという事情があります。結果として東北では婚姻率も低く、「若い女性が少ない → 婚姻数が少ない → 出生数が少ない」という悪循環にあるようです。また北海道の出生数の低さは、札幌への一極集中の弊害が大きいとも言われます。

ちなみに、都道府県別で婚姻率(人口に対して1年間に結婚した人の割合)が最も高いのはどこだと思います? これが「東京」なんです。2022年のデータですが、2位の沖縄を除いて、愛知、大阪、福岡、神奈川――と、こちらは政令指定都市がある県が並びます。つまり大都市圏では、「結婚は多いのに出生数は少ない」現実があります。

ここから住居費と出生率の相関関係を見ていきます。

まずは、分譲です。マンションの平均坪単価と合計特殊出生率のデータを突き合わせると、価格が高い県ほど出生率が低い傾向が明らかでした。 東京や神奈川、大阪など坪単価が高い方から上位10県の合計出生率の平均は1.10で、この年(2023年)の全国平均1.20より低い一方、徳島や香川、山口など下位10県では出生率が1.30と高く、また沖縄や宮崎など出生率の高い方から上位10県の坪単価は平均およそ100万円で、全国平均206万円のほぼ半分でした。

次に、賃貸です。こちらも全く同様で、東京や神奈川など家賃が高い方から上位10県の出生率は1.15と全国平均より低く、逆に鹿児島や宮崎など家賃が安い方から10県の出生率は1.35と、平均を上回りました。

また、出生率上位10県の平均家賃4万3000円に対し、下位10県(家賃が高い順の上位10県)はおよそ6万円、中でも東京は9万円です。平均家賃は狭いアパートなども含むので、2LDK以上のファミリータイプはこれより5割程度は高いとみられ、これを反映すると、出生率上位と下位の、家賃の差はさらに開きます。

もちろん、少子化の原因は複合的で、住居費はその一部に過ぎないことは分かっています。ただ、こんなデータもあります。収入と婚姻率の関係です。 厚生労働省の2024年「賃金構造基本統計調査」で、サラリーマンの平均月収上位は東京、神奈川、愛知、大阪の順で、順位こそ違いますが同じ年の婚姻率上位と同じ顔触れです。

つまり、収入の高さと婚姻率の高さには強い相関関係があるのに、それが出生数には結びつかない。それどころか、愛知を除くと東京都の最下位をはじめとして、むしろ出生率は低い都府県ばかりで、その低さは住居費の高さと強い相関関係があります。

少し荒っぽいまとめ方をすると、ある程度収入が高くて結婚はできても、住居費が高い所では子どもを持つことをためらったり、2人目からはさらに躊躇する傾向が、うかがえます。