アメリカとイラン 停戦合意の背景は

トランプ大統領のSNS
「イランへの攻撃を2週間停止することに同意した。これは双方による停戦だ」

停戦に同意した一方でトランプ大統領は、その直前まで、たびたびイランを口汚く威嚇していた。

国民向けに行った演説では…

トランプ大統領(1日)
「今後2週間から3週間のうちにイランに強烈な打撃を与え、本来いるべき石器時代へと引き戻してやる」

ホルムズ海峡の封鎖についても…

トランプ大統領のSNS(4日・5日)
「あらゆる地獄がイランに降り注ぐまで、あと48時間だ」
「くそったれの海峡を開けろ、ろくでなしどもめ」

キリスト教の復活祭の日にホワイトハウスで行われた恒例のイベント。和やかな雰囲気の中、「イラン攻撃は戦争犯罪ではないか」と問われると…

トランプ大統領
「戦争犯罪が何か分かるか?いかれた国に核兵器を持たせることだよ」

この直後に臨んだ会見ではイランに対して、再び、あの言葉を口にした。

トランプ大統領
「7日午後8時までイランには猶予を与えている。それを過ぎれば奴らは橋も発電所も失う。石器時代だ」

では、なぜ停戦合意に至ったのか。その背景には「トランプ政権の焦りがある」と、アメリカ政治に詳しい同志社大学の三牧聖子教授は指摘する。

同志社大学(米政治・外交)三牧聖子教授
「(トランプ大統領の)戦争を巡る発言に、国際社会はもちろん、アメリカ国内からも懸念されるような発言が相次いでいた。アメリカ市民はずっと物価高問題を争点にしてきて、トランプ大統領も物価高を解決するということで2024年、大統領選を勝った」
「大きい要因としては(中間)選挙があるこの年にズルズル戦争を続けて、今回、世界経済がこれだけ動揺しているわけですので、戦争を続けている限り、物価高問題を解決しようがないと気づいて、やはり(中間)選挙を見据えてどこかで出口を見つけなければならないと、トランプ大統領自身も感じ始めていた」
「強硬な発言をせざるを得ないほど、実は停戦に向けて、アメリカ側もトランプ大統領側も焦りがあった」

停戦を巡りアメリカはイランから10項目の提案をされたというが、「イランのウラン濃縮活動の容認」「レバノンを含む全戦線で戦闘を終結」など、違反があったとイランは主張している。

同志社大学(米政治・外交)三牧教授
「トランプ政権としても今回の軍事行動は何のためだったのか。イランの核開発の脅威を断つんだ。根本から断つんだ、そのためには軍事行動が必要なんだということで軍事行動を始めていますので、(イランの)このウラン濃縮に関しては、アメリカ側としては勝利というふうな合意にするためには、ゼロ濃縮ということにこだわっていく可能性がある。イランとしてもそこは譲れないということになれば、この一つの項目を巡っても、なかなか(停戦)合意は難しい」

停戦合意発表の後、レバノンに最大規模の攻撃を行ったイスラエルのネタニヤフ首相は…

イスラエル・ネタニヤフ首相
「イランとの一時的な停戦にヒズボラを含めないよう強く主張した」

イランのアラグチ外相は、こう釘を刺した。

イラン・アラグチ外相のSNSより(9日)
「アメリカは停戦するか、イスラエルを通した戦争を続けるか、選ばなければならない」

イラン、そして交渉を仲介するパキスタンは、停戦合意にレバノンへの戦闘終結も「含まれる」としているが…

同志社大学(米政治・外交)三牧教授
「アメリカもレバノンが(停戦の条件に)入るということは認識していた。しかし、ネタニヤフ首相がトランプ大統領に電話した。トランプ大統領に働きかけた後に、アメリカ側がレバノンは対象外だと言い出した」

──なぜトランプ大統領は、ネタニヤフ首相の言うことをそこまで聞くのか?

同志社大学(米政治・外交) 三牧教授

「アメリカ国内には福音派と、非常にイスラエルを重視する、そして親イスラエル政策をトランプ大統領がとることによって、福音派はじめ親イスラエルの集団の票を固めることができる」
「停戦するとしても一時的なものにとどめて、将来イランやヒズボラ、レバノンを攻撃する余地を残しておきたいイスラエルを本当に抑え込んで、持続的な停戦合意をイランとの間で実現できるかというのは、そんなに期待が、大丈夫だと言えるような段階ではないと思う」