駐日イラン大使語る「停戦は崩壊寸前」

停戦合意が発表された翌日、駐日イラン大使が取材に応じた。

──現時点(9日)で停戦は維持されているのか?

セアダット駐日イラン大使

「現時点では停戦は維持されているが、崩壊寸前だ。私たちは合意を破っていない。アメリカの同盟国である“壊し屋”のせいだ」

大使は「壊し屋」という言葉を使って、イスラエルがレバノンを攻撃して「合意そのものを壊そうとした」と非難した。

セアダット駐日イラン大使
「アメリカの反応はどうだったのかというと、『レバノンは停戦合意に含まれない』と言った。あえて言うのであれば『信頼はゼロ』です。侵略が再び始まれば、私たちは躊躇なく自衛権を行使する。アメリカは停戦合意を崩壊の危険に晒している“壊し屋”の侵略行為をやめさせることができるはずだ」

イラン側の「ウラン濃縮」と「ミサイル計画」は、依然、アメリカ側の考えとは、大きな隔たりがあることも浮き彫りになった。

──ウラン濃縮の権利を主張し続ける?

セアダット駐日イラン大使

「もちろん」

──ミサイル計画の制限を交渉する意思は?

セアダット駐日イラン大使

「ないない、あり得ない。我々の軍事能力は、交渉の対象にならない。決して妥協しない」

「崩壊寸前」の停戦。「妥協しない」とする交渉。しかし大使が完全に否定しなかったのが、すでに濃縮されたウランを引き渡すかどうかという点だった。

ホワイトハウスのレビット報道官は8日、「イランが濃縮ウランを引き渡す意向を示している」と発表した。

これはトランプ氏の“悲願のひとつ”でもあったが…

セアダット駐日イラン大使
「交渉戦術の一環なのかもしれないが、トランプ政権がただそう言っているだけ。交渉が始まる前にそんなことを言うべきではない。私たちはメディアを通じて交渉はせず、会談の場でのみ交渉をする」

一方、停戦が発表された当日、高市総理はイランのペゼシュキアン大統領と電話会談に臨んだ。「最重要事項」として伝えたのが、「ホルムズ海峡の航行の安全確保」だという。

高市早苗総理大臣
「最も重要なことは、ホルムズ海峡の航行の安全確保を含む、事態の鎮静化が実際に図られるということ。『外交を通じて最終的な合意に早期に至るということを期待している』と伝えた」

セアダット大使は“電話会談の成果”として「地域に平和と安定を取り戻して利益を享受できるよう対処することで一致した」と強調した。

セアダット駐日イラン大使
「海峡は私たちの生命線だ。自分の首を絞めるような真似はしない」
「我が国がホルムズ海峡にどれくらい依存しているかわかりますか。石油の輸出だけでなく、食料の輸出入も含めて、依存度は日本よりも遥かに高い」

──2週間の停戦期間中、イラン政府は、自由に通航できるよう許可するのか?

セアダット駐日イラン大使

「紛争地帯では我々の軍が、日本などの船舶を誤って標的としないよう、船についての情報を受け取り、『調整』する必要がある。この『調整』を通じて、すでにインド、パキスタン、トルコ、フランス、ドイツなどの船が、海峡を通過した。責任を問うべき相手は侵略者だ。戦争を始めた側の人だ。戦争で世界経済とエネルギーを人質にとった者だ。それは私たちではない」