■「きっと将来大活躍する」コロナ禍の子どもたちへの想い

須江監督は優勝インタビューで
コロナ禍の高校生活っていうのは、僕たち大人が過ごしてきた高校生活とは全く違うんですね」と話しています。

2020年に緊急事態宣言が発表され、私達の生活はかなり制限されました。特に学生たちにとっては学校が休みになったり、修学旅行や文化祭・体育祭なども中止など大きな影響が。昼食も個食、常にマスクを着用する生活が求められてきました。
その影は部活動にも…。
感染拡大を受けて、2020年春の選抜高校野球大会の中止が決定。
このとき出場を決めていた仙台育英のチームに、須江監督は次のようなLINEを送っています。

須江監督が送ったLINE
『ここまでの競争、本当によくやりました。多くの涙の中、葛藤を抱えながらよくやり切ったと思います。夏、命に代えてでも甲子園に連れて行きます。必ず、日本一にします。

翌日のミーティングでも、
「大会はありませんが、あなたが勝ち取った確かな証ですからどうぞ受け取ってもらって、お父さんお母さんに報告してください。そして、選ばれた人をみんなで祝福してあげて、
夏の大会に向けてまたチーム一丸となってやりましょう。」
と、出場するはずだった選手1人1人に、着けるはずだった背番号を手渡しました。

しかしこの年も、夏の甲子園は中止。
そこから2年後。この時の1年生が3年生になった今年の夏、見事優勝を勝ち取りました。
『青春ってすごく密なので』という言葉は、もちろん活躍した選手たちへの言葉ですが、出場できなかった教え子たちを思っての言葉でもあります。

仙台育英 須江航監督:
教員という職業の中で、(密という言葉が)いつしか注意をする言葉のひとつになっていました。
青春ってさ、そういう密な感じなのはわかるんだけど、もし感染が出ちゃったりしたら活動ができなくなっちゃったり、いろんな方面に迷惑がかかるから、わかるんだけどちょっと離れようね』とかっていうことを言ってましたからね。
密なものを提供してあげたいんだけど、させてあげられないという感覚がずっと心の中にあったので、インタビューされたときについ出た言葉でしたね。

コロナ禍での青春を過ごした生徒たちについてー

仙台育英 須江航監督:
この3年間って彼らの中で本当に知恵や情熱を出し続けて色々なことを乗り越えているんですよ。
例えば「一緒にご飯を食べられない」とかそれぐらいのことかもしれないけど、でもそれは大人から見ればそれぐらいのことでも子どもから考えれば、ちょっとした寂しさとかちょっとしたストレスとか苦労とかが日常生活の中に溢れているんですよ。
でも実はそれを知らず知らずのうちに色々な工夫や我慢で乗り越えてきてますから、僕らが当たり前だと思った世の中が戻ってきたときには、多分すごいエネルギーが爆発すると思います。なので、きっと社会の中心になっていくのは今苦労してる世代の子たち。きっと将来大活躍すると思います