クイーンズ駅伝でも見せていた執念の走り

今回と近い走りを挙げるとすれば、23年のクイーンズ駅伝3区(10.6km)の走りだろう。廣中璃梨佳(25、JP日本郵政グループ)の猛烈な追い上げにトップを譲り、2~3m離されることもあった。だが必死の形相で廣中に付くと、中継所まで0.4km付近でスパートして3秒先着した。チームメイトの新谷仁美(38、積水化学)は当時「佐藤さんは並ばれてスイッチが入った」と同僚の走りから感じていた。今回の佐藤も、残り距離が減って行く中でスイッチが入った。

佐藤選手とチェプキルイ選手

野口監督は「執念だったと思う」と話す。「粘るだけでなく、負けたくない気持ちが勝っていました。駅伝では、離されたら次の走者の負担になってしまう。マラソンでは、日本人トップは佐藤も経験していますが、勝つことは簡単なことではありません。前半はそこまで強く思っていなかったのでしょうが、残り距離が減ってくるに従って、相当意識したと思います。相手が2時間17分台を持っていて、頭の中では強いとわかっていると思うんです。それでも勝ちたい気持ちがわき上がってきて、あれだけの走りができました。僕は成長したな、と思いました」。

今回の結果で佐藤は9月開催のアジア大会代表選考基準を満たし、来年10月開催のMGC(マラソン・グランドチャンピオンシップ。ロサンゼルス五輪代表3枠のうち1人、ないしは2人が決定)の出場権も得た。