■通信サービスに人だかり「私たちは生きている」

まったく先が見通せない中、ほんの少しだけ日常を取り戻せた人たちもいます。ロシア軍に占領されていたイヴァンキフ。奪還後、家族と連絡を取るため、広場には人だかりができていました。

広場にいた夫婦
「子どもと連絡を取っているんです。ウクライナの西の方に住んでいます」

人々の中心に置かれていたのは丸いアンテナ。衛星を使った通信サービス「スターリンク」の送受信機です。


電気自動車テスラの創業者イーロン・マスク氏が率いるスペースX社が開発したスターリンク。侵攻開始直後、ウクライナのフェドロフ副首相とマスク氏のツイッターでのやりとりでサービス開始が決まり、占領されていた地域にも機器が届き始めたのです。

スターリンク利用者
「接続は良好です。必要な人全員に連絡が取れました。親戚にあいさつをして私たちが生きていることを伝えることができました」

1000人近くの従業員を抱えるIT企業にも、スターリンクのWi-Fiルーターやアンテナが届いていました。

各地のオフィスで従業員たちが活用し、経済活動を続けているといいますが、意外な弱点が…

ウクライナのIT企業従業員
「残念ながらこのシステムは少し気まぐれで、分厚い雲があると、通信スピードが遅くなってしまうんです」

侵攻開始以降、約200人の赤ちゃんが生まれた病院でも、スターリンクの機器が届きはじめ、これからの活用に期待を寄せています。


周産期センター所長
「スターリンクは緊急事態のときに活用するつもりです。遠くいにいる親族と患者が連絡を取れれば安心できるし他の病院と連携を取ることもできる」