「何のために生まれてきたのか」仮設住宅の退去を迫られる72歳の住民

原発事故のあと、福島県内には応急仮設住宅があちこちに建てられた。
現在、そのほとんどが取り壊されているが、まだ一部が残されている。

今も、3世帯が国の支援を受けながら暮らしている仮設住宅。その中のひとり、舘林敏正さん(72)。
双葉町で生まれ育った舘林さんは、原発事故後、夫婦で親戚の家に身を寄せ、半年が過ぎた頃、この仮設住宅に入った。
だが避難してまもなく、妻が難病を発症。そこから長い介護生活が始まった。

双葉町民 舘林敏正さん(72)
「家内も半分寝たきりになって、車椅子で。さくらんぼ(の木が)1本あるんですけど、美味しいって、食べて喜んでたんですよ」
そんな妻は2025年1月、突然亡くなった。
長引く避難生活で舘林さん自身もうつ病を患い、今も投薬治療を続けている。そんな中、さらなる追い打ちが。
3月末で、この仮設住宅から退去しなければならなくなったのだ。
アパートなどの借り上げ住宅を含め、今も応急仮設住宅で暮らす双葉町の住民は271人にのぼる(1月1日現在 ※みなし仮設住宅含む)。

長年暮らした仮設住宅の前には、妻が好きだった草花の鉢が置かれたまま。
ここを出なければいけないことはわかっているが、未だに気持ちの整理がつかないという。
双葉町民 舘林敏正さん(72)
「どこにも行くところがない。気力が薄れちゃう。いくら頑張っても頑張っても、結果が出ない」
今の政治に対する思いを聞くと…

双葉町民 舘林敏正さん(72)
「私どもの小さい声はなかなか届かない。何のために生まれてきたのかな。ある程度、年になれば、自分たちの時間ができて、のんびり暮らせる。最後はこういう惨めな目にあって。人間ってね…辛い人にはいろんな辛いことが重なってくるというか。不思議なものですよ、人生って」

















