国内政治での行動原理は「既存秩序の解体」
ここまで、トランプ政権が第二次大戦後にアメリカが築き上げてきた国際秩序を解体するかたちで外交を展開していることを概観してきたが、国内政治でも、「既存秩序の解体」が基本的な行動原理となっている。
「MAGA=アメリカを再び偉大に」という言葉に込められた意味合いを、改めて確認してみたい。
目標:
中西部の白人を中心とした「忘れられたアメリカ人」が再び「強いアメリカ」「豊かなアメリカ」を実感できるようになる。そのために「アメリカを食い物にしてきた」リベラルなエリート、非白人の移民、外国を脅威とみなし、その脅威を取り除く。
手段:
対リベラルエリート→選挙で選ばれていないワシントンの連邦政府の職員の解雇を進める。さらに、司法省・FBIといった捜査機関や、中央銀行にあたるFRBなど、政府から業務上の独立性が重視されてきた組織の独立性を破壊する。メディア・大学・法律事務所に訴訟や調査を通じて服従を迫る。
非白人の移民→強硬な取り締まり・強制送還を実施。取り締まりに対する反対運動には州兵などを動員して弾圧。
外国→関税を課し、アメリカ市場での自由な展開を阻害。同盟国であっても対象外にしない。
上記の「手段」に記したものがアメリカ国内での「既存秩序の解体」に当たるものだ。そして、こうした「手段」は例外なく、「大統領権限を逸脱している」などとして訴訟の対象になっていて、地裁や高裁のレベルではトランプ政権は何度も敗訴している。
ただ、まだ多くの訴訟について、最高裁の判断が示されていない。最高裁の多数を保守派が占める中、トランプ政権の行動に対する「歯止め役」の役割は限定的なものになるのではないかとみられている。














