“選ばせすぎない”という優しさも――現代の葬儀社に求められる役割

ドラマストリーム『終のひと』より

一方で、全てを「自由」にすればいいわけではない。「小さなお葬式」では、返礼品など、あえて選択肢を増やしていないものもある。

「葬儀は、精神的な負荷が非常に高い場面です。選択肢を増やすことが、必ずしも優しさにつながるとは限りません」

結婚式とは違い、準備期間も短い。「迷わせないこと、悩ませないこと」も、葬儀社の重要な役割の一つだという。

「本質的に選びたい部分の、音楽などの演出と、“一般的なものでいい”というところは分けています」と、例えばお通夜の返礼品であれば“消え物”で日持ちもするお茶やコーヒー、葬儀の際はハンカチやミニタオルなど、「昔からある一般的なもの」を提案。

「全部を選んでいると、決めなければいけないことが膨大にあるのが葬儀です。その中で、自由にやりたい部分に関しては、折り合いの付くところを一緒に模索しています」

ドラマ『終のひと』の舞台は、同じく「葬儀」の現場。柿澤さん演じるベテラン葬儀屋・嗣江宗助と、母親の急逝をきっかけに嗣江と出会い葬儀の世界に飛び込むエリート会社員・梵孝太郎(演・西山潤さん)らが、さまざまな死や遺族と向き合う姿を描く。

同じ現場に立つ経験を持つ福井さんは、ドラマについてこう話す。

「葬儀の仕事は、暗いものと思われがちですが、かけがえのない時間に立ち会い、“後悔のない別れ”を支えることができる、素晴らしい仕事だと実感しています。葬儀そのものが、悲しい、つらい、暗いというイメージがある中で、そうしたネガティブなイメージを、テレビの力で上げていっていただけたらなと思います」

“形式”から解き放たれ、“その人らしさ”を大切にする時代へ。葬儀は今、生きてきた時間そのものを、丁寧に映し出す場へと変わりつつある。