「この曲を流してほしい」 音楽が呼び起こす“その人らしさ”

祭壇(写真)やBGMなどにも変化が見られている(写真提供=「小さなお葬式」)

葬儀の変化を顕著に象徴しているのが、「音楽」だ。

15年前、式場で流れるのはピアノやオルゴールのメドレーが定番だった。今も無難なBGMとして式場などに常備はされているが、故人や家族が明確に式で流したい音楽を選び、会場で流すケースは格段に増えている。

「宗教的な音楽や“悲しみの曲”というより、その人と一緒に過ごした“記憶”と結びつけられるような曲が選ばれます。一緒に旅行した時に聴いていた曲、よく口ずさんでいた歌。ジャンルもJポップ、洋楽、アニメソングまでさまざまです」

1曲に限らず、好きなアーティストの楽曲をメドレーで流し続けることもある。式典中だけでなく、式典が始まる前や、棺に花を入れて最後のお別れをする場面など、そのシチュエーションも大事な演出だ。

「その音楽が流れた瞬間に、その人らしさが式場にパッと広がって、式場の雰囲気が一気に柔らかくなったり、音楽は空気を変える力があるなと、現場でも感じていました」と福井さん。

「お祭りのようにそこで太鼓などの生演奏が行われたり、合唱団に入っていた故人の方の式では合唱の方たちが歌われたり。今はもう、分け隔てなく“その人らしい”色を出していくのが主流です。“これがだめ”というラインは基本的になく、自由度は高くなっています」とも。

家族葬の広まりによって、より故人に身近な人が参列する形に移行してきたからこそ、「一般葬で訪れる幅広い方々に気を遣うということもなく、音楽の選択にしてもやりやすくなったところはあると思います」と分析する。

音楽は、悲しみを増長させるためのものではなく、故人らしさを表現し、その人との思い出を呼び起こす役割へと変わってきている。