「遺影」のアップデート “普段の顔”を遺すという選択
遺影に選ぶ写真の変化もまた、葬儀のアップデートを象徴している。
福井さんも、「白黒写真は、今はほとんど見なくなりました」とその現状を明かす。
かつて主流だった、正面を向いた写真に着物を合成し家紋を入れる、いわゆる“着せ替え遺影”も、今ではほとんど選ばれない。代わりに増えているのは、普段着のままの、自然な写真だ。
「横顔だったり、ピースをしていたり、何かを飲んでいる姿だったり。“その人らしい”写真が選ばれています」
スマートフォンの普及で、写真の選択肢が圧倒的に増えたことも大きい。家族が集まり、「この写真がいいね」と自然に話し合って選ぶ光景も珍しくないという。
「小さなお葬式」では、式場にモニターを置き「写真をスライドショーで流すこともあります」。こうした「遺影」の変化は、「ここ10年にも満たないぐらいの感覚です」と言い、急速に変わっていっているようだ。
納棺などの際に着せる死装束や、死化粧も大きく変わった。
「白い着物、いわゆる白装束がとにかく多く、キリスト教でもスーツなどの正装が多かったのですが、今は洋服がかなり増えています」
白装束や死化粧は、生前に着たり施したりすることがないため、故人の“普段の姿”のイメージとは離れてしまう。
「髪型や服などが普段と違うと、『本当に亡くなってしまったんだ』『もう別物になってしまったんだ』というふうに、視覚的にも疎外感や悲しみを感じてしまうことがあります。普段から着ている服やお気に入りのメイクをすることで、『寝ているみたいだね』と話すご家族もいらっしゃいます」
祭壇も同様だ。花に囲まれた空間に、故人の趣味の品や愛用品、好きだった食べ物が並ぶ。ぬいぐるみや、応援していたスポーツチーム、推しグッズなどを供えることもある。
「音楽や飾り付け、進行などで、耳にしたものや目に入るもの…五感に働きかけるようなものが、お客さまの心に深く刻まれるのだと思います」と、現場では今、心に残る“演出”がより求められている。














