「儀式」から「その人の時間」へ――葬儀が映す価値観の変化

家族葬を中心に行う「小さなお葬式」の式場

「一番大きく変わったのは、“誰のための葬儀なのか”という意識だと思います」

そう語る福井さんが葬儀業界に入ったのは、約15年前。当時は、近隣や親族、世間体を強く意識し、“儀式的”なところを重んじて「失礼がないか」を最優先に段取りを組むのが当たり前だったという。

「今は、『故人らしさ』や『遺された家族が後悔しないか』という視点が、明確に前に出ています。参列人数を最初から限定する家族葬が主流になり、無宗教葬や自由葬という言葉も一般的になりました」

かつては100人を超える参列者が集まり、通夜・葬儀・告別式・火葬までを執り行う伝統的で大規模な葬儀「一般葬」も珍しくなかったが、現在では全国的に見ても一般葬は全体の3割ほどにとどまるという(葬儀情報サイト「いい葬儀」による「第6回 お葬式に関する全国調査(2024年)」より)。

とはいえ、「簡素化」という言葉で語られがちな変化について、福井さんは首を横に振る。

「省略ではなく、“選択”です。やりたいこと、やらないことを、自分たちの価値観で選んでいる。葬儀の変化は、価値観の変化そのものだと思っています」。

葬儀社として提案する内容も、「“一般的にこうだ”という正解ではなく、“こういうこともできます”と伝えて、お客さまの思いを聞きながら選択肢を整理していく。一緒に考える存在としての役割が、今の葬儀社には求められていると思います」と続ける。