■北朝鮮に見えつつある“危険な兆候”
そして2016年、北朝鮮はそうした考えを明らかにした論評を行います。
「弱肉強食の法則が作用する国際政治の秩序の中、核を保有しなければならないというのは、21世紀の現実が証明した血の教訓だ」
さらに今回のウクライナ侵攻で、北朝鮮に危険な兆候が見えつつあるというのです。
ロシアのウクライナ侵攻を食い止めることができなかった国連は、その機能不全を露呈。それが北朝鮮に大きな影響を及ぼすのでは、と専門家は指摘します。

慶應大学 礒崎教授
「今のウクライナ情勢は発射実験どころではない。隣国が隣国を直接攻撃している状況。そういった状況でも国連が機能不全に陥っていることを目の当たりにした北朝鮮は、兵器開発をますます堂々と進めることができるのではないかと考えておかしくない」
実際、3月の北朝鮮によるICBM=大陸間弾道ミサイルの発射に対しても、中国とロシアが慎重な姿勢を崩さず、全会一致が必要となる声明を出すことができませんでした。
その一方で、北朝鮮の去年1月時点での核弾頭保有数は40~50発。毎年10発のペースで増えているという推計もあります。
韓国では5月、北朝鮮に対し融和的だった文在寅政権に代わり、強硬な姿勢を示す尹錫悦(ユン・ソギョル)氏が大統領に就任。南北関係の緊張が高まることが懸念されます。
尹錫悦氏
「いかなる挑発も確実に抑止できる強力な国防力を構築する」
こうした中、北朝鮮は4月25日に「朝鮮人民革命軍」創建90年を迎えますが、それに合わせ、軍事パレードやICBM発射の可能性も指摘されています。
今回のウクライナ侵攻を注意深く見守る北朝鮮。今後の東アジア情勢に与える影響は決して小さくはありません。
(サンデーモーニング2022年4月17日放送より)