■ウクライナ情勢 北朝鮮はどうみる―?

その核保有国・北朝鮮は、今回のウクライナ情勢をどう見ているのでしょうか。

北朝鮮外務省はロシアを擁護(2月26日)

北朝鮮が初めて反応を示したのは、侵攻開始2日後の2月26日。

北朝鮮外務省はウクライナの事態について、「ロシアの合法的な安全上の要求を無視して、一方的な制裁・圧迫のみにしがみついた米国の強権と専横に根源がある」と主張し、ロシアを擁護したのです。

そしてこのロシアによるウクライナ侵攻から、北朝鮮が“ある教訓”を得てしまう懸念があると、専門家は指摘します。

慶應大学 礒崎敦仁教授
「構造としては、核を持たない小国が大国に侵略されてしまった。それを防ぐために核ミサイルが必要なんだというのが北朝鮮の論理。ウクライナ情勢を受けて、北朝鮮が『核が必要だ』『核に依拠しないといけない』という考え方に、さらに傾いていくという懸念はある」
 
1991年、ソ連から独立したウクライナ。独立直後は、旧ソ連時代の核が配備されていたため、世界第3位の核保有国でした。しかし94年、ロシアやアメリカなどとの間で「ブダペスト覚書」を結びます。

米・クリントン大統領(当時)
「アメリカとウクライナ、そしてロシアとで、ウクライナの核廃棄に調印します」

これは安全保障の約束と引き換えに、ウクライナが核兵器を放棄するという内容でした。

しかし、今回、ロシアはウクライナに侵攻し、その約束を反故にしたのです。

またかつて、核開発を放棄したリビアのカダフィ体制が、NATOの軍事介入を経て、2011年に崩壊したことも、北朝鮮は「中東諸国の教訓」と名づけて、その後、核保有の必要性を明確に訴えるようになります。