取材後記

「コメ不足」を振り返ると、備蓄米の放出はやはり遅かった、そこに尽きると思う。農水省官僚から「省内の全員が当時の対応について、いいと思っていたわけではない」との声を聞いた時、ではなぜもっと早く手を打つことができなかったのか、と腑に落ちなかった。

備蓄米の放出に歴史的な農政の大転換――。そして、大臣の交代を重ねても店頭価格が高いまま終了した2025年。全て後手後手に回った感が否めず、来年に向けても課題が色濃く残った。ある幹部も「年が明けてもコメ問題は続く」と話す。

変わる大臣に振り回される官僚や生産者、そして消費者。しわ寄せの先は、結局いつも現場だ。

農水省担当として、消費者のための政策になっているのかを節節に自問した。下げるための「劇薬」は果たして本当にあったのか。一過性のものにしかすぎなかっただろう。

業者間での取引価格はすでに下落傾向にあり、2026年、徐々に店頭価格も下がっていくとの見方がある。

日本人の大事な主食であるコメ。そのコメについて考えることがない日はなかった1年だった。

毎日テレビや新聞で取り上げられ、「もうそろそろ良いのではないか」と思ったこともあった。だが、コメ政策の持続性について腰を据えてしっかり考えるべき時は恐らくいまだろう。

一連の取材を通して得た経験をしっかり今後に活かし、正しくないことは正しくないと引き続きしっかり世の中に伝えていきたい。

TBS報道局経済部 田中優衣