変貌する裏社会の勢力図 暴対法がもたらしたもの 

かけ声も虚しく、その勢力はピーク時の5分の1にまで落ち込みました。

警視庁の元幹部は、暴対法の施行がターニングポイントだったと振り返ります。

元警視庁 警視 櫻井裕一さん
「暴力団員は携帯は契約できない。アパートも借りられない。そういう締め付けがいっぱいあるんですよ。銀行口座も作れない」

警視庁で約40年、組織犯罪対策に当たった櫻井裕一さん。暴力団が鳴りを潜めると、異なる性質の犯罪が増えてきたと言います。

元警視庁 警視 櫻井裕一さん
「昔はオレオレ詐欺から始まっていますよね」

オレオレ詐欺をはじめとする詐欺が急増。警察の取り締まりで一旦沈静化するも、数年前からまた増加しているのです。

その原因こそ、トクリュウです。

実行犯の振る舞いは凶暴化していきます。2023年1月、関東で窃盗や強盗事件が相次いで発生しました。襲われ、命を奪われる犠牲者も…

裏で指示を出していたグループは遥か遠く、フィリピンにいました。

ここから電話で特殊詐欺をはたらいていたのです。

詐欺グループのメンバー
「お電話このままでお待ちいただいてもいいですか。特殊詐欺対策課のほうのプッシュ回線に繋がりますので」

グループを率いていたひとりが、今村磨人被告。通称「ルフィ」。

今村磨人被告
「本当だという情報が、本当だということを確認してください。これで日当で1万出します」

彼らこそ、警察が初めて「トクリュウ」と呼んだグループです。今村被告らのグループは検挙され、壊滅に至りました。しかし、トクリュウによる事件は後を絶ちません。

トクリュウによる犯罪は、なぜ止まらないのか。理由は、その特殊な組織構造にあったのです。