■取材すること約7か月。疑惑の“この人”の説明責任は!?

記者①)議長!旧統一教会との関係は公表されないのでしょうか?
A)(無言)・・・

記者①)公表されないんですか?議長!!
A)(無言)・・・

記者②)議長として率先して範を示す立場じゃないのでしょうか?
A)(無言)・・・

記者①)党としては公表されていますけれど、議長!

A)(無言)・・・

記者①)議長、沈黙のままなのでしょうか?言論の府の長ですよね?議長
A)(無言)・・・

記者②)どうして公式にご説明されないんでしょうか?
A)(無言)・・・

記者①)議長そのままでいいとお考えですか?
A)(無言)・・・

記者②)このままだと、どんどん政治不信を招きますよ!
A)(無言のまま公用車に乗り込む)・・・

これは、ことし9月に国会で私とJNNの記者が“ある議員”に取材した時の様子だ。その人物とは・・・“三権の長”である細田博之衆院議長だ。


私が細田議長を初めて取材したのは、ことし5月。ある週刊誌でセクハラ疑惑が報じられたことがきっかけだった。

これ以降も、旧統一教会関連団体の会合で自身が挨拶を述べていた映像が明らかになるなど、その親密な関係が指摘されたことから、現在も細田議長への取材を続けている。

この間に、細田議長が公式に発したコメントは、全てA4サイズの文書によるもの。件のセクハラ疑惑報道も含め、その枚数はわずか4枚。

そんな細田議長を国会内で取材できるチャンスは、おもに衆議院本会議が開かれる前後の時間帯だ。

7か月の取材で分かったことは、基本的に記者の問いかけには応じず無言のまま素通りするということ。先述の取材のやり取りにもあるように、「説明責任」という言葉とはまるでかけ離れた対応を繰り返している。

そして、ごく稀に短めのコメントを発するケースもあったが、我々が問いかける内容とはかみ合っていない。


■今こそ範を示すべき

12月10日に閉会した臨時国会の会期中も、私は細田議長に対し、旧統一教会との関わりや、国政選挙の際に、教団関係の票の差配に自身が関与した疑惑などについて何度も問いかけたが、応じることはなかった。

また、その対応は実は記者だけに限らない。

臨時国会の閉会日前日(12月9日)、野党側が与党に対し「細田議長のこれまでの説明責任が不十分だ」とし、本人に記者会見で説明させるよう要求。

この日、立憲民主党の安住国対委員長は報道陣に対し「そのまま逃げ切れると思わない方が良い」とした上で、この臨時国会で会見を行わない場合は「(次の)通常国会は入り口からこの話になる」と牽制した。

しかし、当の細田議長は公の場で説明を行うことはなく、69日間にわたる臨時国会は幕を閉じた。


閣僚経験者に国民の負託を受けた国会議員、それに総理大臣などと並ぶ「三権の長」。立場はそれぞれ違えども、国を背負う政治家として今こそ範を示すべきではないのだろうか?

彼らが今後も公の場での「説明責任」を果たさず、うやむやにしてやり過ごそうと、自身の保身を優先するならば「私たち国民の暮らしと命を守る」ことなど、到底望むべくもない・・・。

(CBCテレビ 東京報道部 国会担当記者 木下大)