ソ連への派遣も 国力分析のスペシャリストだった健吉
「ソ連」に関する大量の資料も見つかった。陸軍経理局主計課に配属された健吉は、1935年、ソ連に派遣されたのだ。健吉は、新聞や雑誌、公的文書などのオープンソースからソ連の持つあらゆる力=国力を調べていた。靖生さんとともに陸軍に詳しい専門家・柴本一希さんを訪ねると、背景をこう説明してくれた。
●陸軍に詳しい柴本一希さん
「この時期、ソ連は工業力など、経済的な発展を遂げていました。1932年に満州国が作られます。満州国とソ連とは直接国境を接しているので、日本陸軍はソ連軍と対峙しなければならなくなりました」

「数字が羅列された大量のメモ。発電量や原油、自動車など多種多様な分野ごとに、ソ連が持つ能力がどれほどなのか細かく分析されていた」
日本がソ連とどう向き合うか、考える材料を陸軍に提供した健吉。「国力分析のスペシャリスト」になったのだ。

















