先週、高市総理と国民民主党・玉木代表による党首会談で正式に合意した「年収の壁」178万円への引き上げ。低所得の層だけではなく中間層を含め手取り増を求める国民民主党に対し自民党が大幅譲歩する形となり、最大の控除を受けられる対象を納税者の約8割に当たる年収「665万円以下」の人としました。

「年収の壁」引き上げは、国民民主党躍進のカギとなったいわば「看板政策」。今回の合意の舞台裏や今後の連立入りの可能性について、国民民主党・玉木雄一郎代表に根掘り葉掘り聞きました。

玉木代表「我々としてここが精一杯やり切った限界」

―――「年収の壁」178万円への引き上げ合意について、率直な受け止めは?

(国民民主党・玉木雄一郎代表)「木曜日の夕方5時に高市総理と会ってサインをしましたが、4時間前の午後1時ごろまでは決裂するかもしれないと。厳しい交渉をやりまして、最後はお互いの政治決断で決めたというのが今回の内幕です。いろいろなご評価があるんですけれども、一つは約束した178万円まで課税最低限を引き上げることができた」

「それと中間層(への還元)を今回非常に厚くしたいなと。去年は160万円まで(壁が)引き上がりましたが、対象が年収200万円以下で全体の4~5%の方だけが最高水準の基礎控除の引き上げを享受できました。しかし今回は給与所得者の約8割、80%まで対象広げることができた。例えば年収600万の方で言うと、年間に5万6000円の減税効果があります。夫婦2人だと11万2000円。今の物価で家計の支出が約9万円増えていると言われていますので、それを補うに十分な減税が行われるという意味では、物価高騰対策としても一定の効果のある水準を達成できたと思っています」

―――当初の国民民主党の案は“所得制限なしに一律178万円”でしたが、この所得制限という点で自民との議論が決裂しそうになったのでしょうか?

「そうですね。最初に財務省が持ってきた案は(所得制限が)年収300万円以下だったので、それはさすがに狭すぎないかと交渉を重ねました。いま日本人の平均年収は460~480万円程度と言われてますから、それを超えて8割程度カバーするところまで広げていこうと。4つ新しくできた所得制限の壁のうち、2つは倒すことができましたが、もう2つが残ってしまったのは一つの交渉の結果。野党の50人ぐらいの規模の我々は、ここが精一杯やり切った限界だったと思います」