■「私たちには輸出する能力がない。港が封鎖されてしまったから・・・」
貧しい国々の糧を支えてきたウクライナの農業が危機に直面している。穀倉地帯にも聞こえてくる爆発音。農地には地雷が埋まっているかもしれない。一体どうすればいいのか・・・番組ではウクライナの農業食糧大臣から直接聞いた。
ミラコ・ソリスキー ウクライナ農業食糧大臣:
みんな避難して人口が減った。多くの農家の男たちは、軍に入ったり志願兵となったりした。夜間外出禁止令により仕事ができる時間も減った。今年の収穫は去年に比べ4割から7割になる可能性があります。
しかし最大の問題は、生産できたとしても、その穀物を求める人々に届けられないことだった。
ミラコ・ソリスキー ウクライナ農業食糧大臣:
ウクライナの穀物は何億人もの人々が暮らす国々、アラブ諸国をはじめ北アフリカや中国などに運ばれていました。黒海の港からは500万トンの穀物を輸出していました。しかし今そこは機雷が多く、沈没船もあり、ロシアの軍艦が私たちを監視している状況です。私たちには輸出する能力がなくなってしまったのです。私たちの港が封鎖されているからです。他の輸出ルートを模索しています。ルーマニア、ポーランド、バルト海とその他の港への新ルートを探し供給していく必要があります。
■ウクライナの穀物輸出 今後の懸念とは・・・
ウクライナの穀物輸出は、その9割が黒海に面した港からの船舶輸送だった。今後の戦況によっては、さらなる悪化も懸念されると服部氏は言う。
ロシアNIS経済研究所 服部倫卓所長:
(今後の展開によって)オデーサ、ミコライウといった港町がロシア軍の手に落ちたとしたら、ウクライナは今後穀物輸出立国としてやっていけないということです。陸路に変えればいいと言ったとしても、そんな簡単には転換できない。
さらに悲劇的な懸念材料を森本氏は指摘した。
森本敏 元防衛大臣:
たとえばロシアが、化学兵器を使ったり原発を攻撃したりして放射能が出てウクライナの穀倉地帯が少しでも汚染されたら、戦争は終わってもウクライナの小麦は誰も買わない。そこが一番心配なのです。
(BS-TBS 『報道1930』 4月13日放送より)