■肥料もロシアに牛耳られている 

ウクライナの大豆・トウモロコシ農家 レオニード・テェンティロ氏:
普通4月17日から5月10日までが作付けに最適な時期です。(つまりこれからが大事なシーズンなのですが)、ウクライナの肥料市場をいいますと、数年前まではカリ肥料が主にベラルーシから輸入され、リン肥料は主にロシアから輸入していました。しかし近年それぞれの輸入先がポーランドや北アフリカに切り替わっていて、これまでは問題なく届いていたのですが、今はすべての港が封鎖され、黒海を渡ってくる北アフリカからの輸入が止まっています。化学肥料の価格がかなり高くなりました。去年に比べ約3倍です。

世界中で出回っている有力な肥料、カリ肥料の世界貿易シェアはロシアとベラルーシで40%だ。加谷氏によれば、食料問題は短期的に見通せるが、肥料となると作付け面積にも関わり中長期的に影響してくるという。そして最も心配されるのは、こうした食料危機をプーチン大統領は”脅し”の道具にするのではないかということだ。こんな発言があった・・・

プーチン大統領(4月12日の会見より)
「西側諸国が金融・保険・海上輸送を含め状況をさらに悪化させるのであれば、食料不足と世界市場における価格の高騰が間違いなく世界の一部地域における飢餓を引き起こす」

プーチン氏の理論では、西側のロシアへの制裁によって物流が止まり、物が滞り価格が高騰している。制裁を止めないと世界に飢餓を引き起こすぞ、というものだ。元防衛大臣の森本敏氏は憤りを隠さない。

森本敏 元防衛大臣:
西側の制裁は何のために行ったかってことです。理論が逆転してて話にならない。私は今回のロシアの軍事侵攻は、食料の戦争でもあると思う。明らかに食料で困って死ぬ人のほうが軍事的攻撃によって死ぬ人よりもグローバルに見れば多い。だからものすごく深刻だ。食料の最大の危機というのは肥料貿易が止まること。肥料が止まれば生産は落ちる。肥料こそ食料の根っこである。それが今両方止まっているんだから…ロシアがけしからんのは、自分の国で消費する分は国民のために維持している。輸出できる分を出せばいいんだけれど、出さないで、例えば国連人権委員会でロシアへの制裁に反対した国にはその見返りに食料をやる。それ以外の国には(食料を)やらない。まさに食料を外交と軍事の武器に使う。ロシアの穀物がなければ生きていけない国、中東・アフリカ・中南米の一部の国が飢餓状態になっている。プーチンは西側の制裁を反転、圧力に使っている。