内定もらうも…立ちはだかる「ヘルパー問題」

今年3月、短大の卒業式。澪音さんの顔は晴れやかだった。

澪音さん
「就活決まった」

友人
「すごいな、頑張っていたもんな」

澪音さん
「2月の末に受けたやつが受かって」

友人
「良かったな」

澪音さん
「心おきなく卒業できる」

卒業間際で、1年更新の有期雇用ではあるが、滋賀県教育委員会から内定をもらうことができた。

しかし、澪音さんは大きな問題を解決できずにいた。仕事でのヘルパー利用をどうするか、職場に相談できていなかった。

勤務中はおよそ8時間、トイレに行くこともできない。両親は澪音さんの身体を心配して、職場に話すべきだと諭す。

母・由季代さん
「(ヘルパーを)使えないと分かっていて、使わんといこうと思ってたわけやん、思っていたやんな?それでも働こうと思ったんやんな?だけど、ずっと付きまとうことやしさ、黙っておくことじゃないから、一応聞こう」

澪音さん
「(ヘルパーが必要だと)言っていくことも大事やけど、現段階で何の実績もない澪音が言ったら…」

母・由季代さん
「(試用期間の)1か月で『あなたは来ないで下さい』って言われるのが嫌ってことやろ」

澪音さん
「向こうに『でも対応できません』って言われて、『じゃあ無理ですよね』ってなったら、澪音は困るから」

高額なヘルパー代を自分で払うことはできない。その負担を職場に求めれば、雇ってもらえない。このことがずっと澪音さんを苦しめてきた。

母・由季代さん
「(職場でヘルパーを使える)制度があったら一番良かったんやけどな」
「澪音みたいなタイプの人たちが、今まで働けなくて挫折したっていうのも、その制度があれば何でもなかったことやん」

澪音さん
「働きながら、ちょっとでも現状が変わることを願って、それこそ(障がいがある子たちの)みちしるべになれたら一番嬉しいことやから。それがちょっとでも実現できるように」