重い障がいのある人たちの社会参加をはばむ制度の壁について。「就職して社会に貢献したい」そんな希望も持ちながらも、苦しみ葛藤する女性とその家族を追いました。

「働きたい」重度障がい者に壁

滋賀県大津市に住む深田澪音(22)さん。先天性の脳性まひで、身体を自由に動かすことができない重度障がい者だ。

毎朝、母・由季代さん(56)が、身支度を手伝っている。

大津市内の短大。澪音さんはこの春まで、ここでパソコンなどのビジネススキルを学んでいた。

深田澪音さん
「シフト押してもらっていいですか」

パソコン操作は、職員の手を借りたり、タッチパネルを活用したりする。できないことは学校と相談して、一つずつ解決してきた。

澪音さん
「まだもうちょっと卒業まであるけど」
短大職員
「だけど、授業は最後だね」

澪音さん
「ありがとうございました」

卒業まであと2か月。しかし、澪音さんの進路は決まっていなかった。

短大の友人
「(就職活動)どんな感じ?」

澪音さん
「まだ連絡きていないけど、1個、2次面接いけるかどうかかな」
「全部書類で落ちているもん」

去年6月から始めた就職活動。

銀行やメーカーなどを受けたが、説明会や面接で、「職場に車いすが入れない」「車いすで乗れるエレベーターが無い」などと言われ、40社近く落ちた。時には「外に出て対面で働くのは難しいのではないか」とまで言われた。

澪音さん
「メンタルを削られる部分はありますね。こんなに面接までいけないんやという難しさは、初めて知りました」