自力での通勤と仕事への決意

働き始めるまで1週間を切った。

澪音さんは、友人に付き添ってもらいながら、自宅から最寄り駅までの道のりを確認していた。

澪音さん
「ここ微妙やな。ちょっと待って一回下がるわ」

澪音さん
「絶対、車道いかなあかんねんな」

友人
「車が無いっていうのを確認してから」

澪音さん
「後ろがさ、分からんからさ」

結局、澪音さんはヘルパーを利用せずに働くことに決めた。通勤も仕事と同様、助成の対象外のため、ヘルパーの手を借りることはできない。

澪音さん
「これで何分?」

友人
「30分くらいみといたら」

澪音さん
「30分…OK!」

4月1日。澪音さんは滋賀県教育委員会で働き始めた。

同僚
「座席表を小さいサイズにして、ここに貼ります?」

澪音さん
「ありがとうございます」

同僚
「じゃあ貼っておきますね」

ようやく叶った社会人になる夢。周りの職員が気遣ってくれるが、できるだけ自分の力で頑張るつもりだ。

課長
「長い一日だったでしょ。僕も初日はそうでしたよ。また明日からね、よろしくお願いします」

澪音さん
「また頑張ります」

澪音さん
「ヘルパーさんが色んな場面で使えたら、可能性は広がるんですけど、その分やっぱり(職場など)誰かにしわ寄せが行くというか、誰かにその分を負担してもらわないといけないので」
「内定をいただいたので、とりあえずその環境で限界まで頑張れたらいいなと思います」