海面水温急上昇に専門家も驚き

三重大学 立花義裕教授:
「6月は夏至がありますから、もし晴れていたら一年で一番日照時間が長いんですよ。だからどんどん海の温度を上げる、エネルギーを海にためこむ効率が一番いい月、それが6月なんです」

立花教授:
「これから海面水温を測定します」

その6月、立花教授ら三重大学などの研究グループは、三陸沖の海水温を2週間にわたり船で調査しました。

2025年の三陸沖の海面水温は6月上旬までは平年よりやや低かったのが、観測を始めた6月下旬からは平年より高くなり、その状態が夏の間ずっと続いたのです。

三重大学 立花義裕教授「わずか1週間2週間の間に水温がみるみる上がっているということも観測できまして驚きましたね。それが7月に今度は海から大気に戻った。6月の晴れた影響が7月の猛暑をつくったということが言えます」

2025年は、9月2日に仙台で観測史上最高気温の37.4度を記録するなど、夏が長かったのも特徴でした。

立花教授らは、温暖化に伴う夏の長さの変化を調べようと2023年まで42年間の気温のデータを分析しました。

全国の地点ごとに、気温が高いほうから4分の1の期間を「夏」と定義して調べたところ、始まりが12.6日早まった一方、終わりは8.8日遅くなり、夏の期間はおよそ3週間長くなったという結果が出ました。

温暖化により、上空の強い西風=偏西風が蛇行しやすくなっていることが原因だと考えられています。

偏西風は北半球では北の寒気と南の暖気の境目に吹き、その速さは双方の温度差に比例しますが、特に北極付近の温暖化が激しいため、近年は南北の温度差が小さくなり、偏西風のスピードが遅くなって蛇行しやすくなっているのです。

三重大学 立花義裕教授:
「(夏は)日本列島付近で近年は偏西風が北に激しく蛇行しています。偏西風というのは南の暖気と北の寒気との境目にできますから、日本列島は夏の間じゅうずっと暑い暖気に覆われます」