物価高対策として政府が推奨している「おこめ券」。これを配布しないと決めた自治体が出てきています。いったいなぜなのでしょうか。

政府が推奨も「おこめ券に使う予定ない」

物価高の影響は、年末年始の食卓にも出てきています。

――クリスマスは?

お客さん
「(ケーキ)なしです」

材料費などの値上がりを価格転嫁できず、洋菓子店の倒産も急増。通常の半額以下で販売された、トッピングなしのケーキも人気だといいます。

おせち料理の具材もすべて値上がり。

カネハツ食品・企画開発部 西房雄 部長
「ホタテを諦めました。入れたかったですね」

価格高騰でメニューを変更せざるを得ないケースも。

こうしたなか打ち出された政府の物価高対策ですが、一筋縄でいきそうにないのが...

鈴木憲和 農水大臣(11月21日)
「おこめ券の配布は、今の価格では思うようにお米を買えない方々に対して...」

政府は、自治体への交付金を拡充したうえで、1人当たり3000円ほどの「おこめ券」配布を推奨していますが、自治体側からは早々に異論も...

大阪・交野市 山本景 市長
「おこめ券に(交付金を)使う予定はない。経費としてお金がかかるので、その分減ってしまう」

大阪・交野市の山本市長は、「おこめ券」の配布について、経費率が20%を超え、特定の業界への利益誘導にもつながると批判。交付金は「水道料金」や「給食費」の支援などに充てる方針だといいます。

大阪・交野市 山本市長(5日)
「農林水産大臣の顔色を見て判断するというのは、このケースではよくない」

3日には、政府による自治体向けの説明会が行われましたが、「配布しない」と決めたところも。

杉浦みずきキャスター
「江戸川区は『おこめ券』を配布しない方針ですが、区民はこれをどのように受け止めているのでしょうか」

――お米食べるの好き?

江戸川区民
「好きです」
「出来ればその辺(おこめ券配布)は、やってもらえると助かります」

江戸川区民
「今じゃ3000円でコメは買えないでしょ、5kg。だから、(おこめ券は)意味がないんじゃないかな」

住民の賛否が分かれるなか、江戸川区は「おこめ券」配布の代わりに、低所得者世帯を対象にした「現金給付」を行う方針。

「おこめ券」を推奨する政府の方針に対しては、コメの販売店からも...

米屋のよっちゃん 吉田功 代表(5日)
「長期的な戦略的なビジョンがないというのは、みんな痛感してると思います。半年・1年、国民がそのおこめ券で生活が楽になるわけではないので、付け焼刃みたいな、その場しのぎの政策なので」

難しいかじ取りを迫られる物価高対策。その裏付けとなる財源も課題です。