「母ちゃん、これフレンチトーストっていうんだ」

アパートの隣の部屋に住んでたお年寄りに頼んだんですね。

「おばあちゃん申し訳ありません、ガスと砂糖を貸してください。うち、母ちゃん寝たきりでガス止められてる。砂糖も切れた。かあちゃん元気になったら必ず何かで返しますから。」

砂糖を借りて、こした牛乳にたっぷり入れて甘くして、踏まれたパンをできるだけ綺麗にみがいてぐちゃぐちゃ浸して、ガス借りてフライパンで温めてこう言って食べさした。

「母ちゃん、これフレンチトーストっていうんだ。家庭科の授業で習ったんだぜ。
でもごめんなかあちゃん、嘘のフレンチトーストなんだ。
本当のフレンチトーストは、牛乳に卵の黄身だけ入れんだぜ。
でも今うち貧乏で卵を買えないだろ、かあちゃん元気になったら一番最初に卵買って、本当のフレンチトースト作ってやるからな」