「バカの壁」などの著作で知られる東京大学名誉教授の養老孟司さんが米寿を迎え、都内で誕生会と記念講演が行われました。昆虫が大好きな養老さんが88歳を目前に採りに行ったという極めて貴重な虫とは? そして来年のお楽しみとは?

琵琶湖で幻の虫を採集

11月9日、東京・港区の「モンベル東京営業所」で「養老先生の米寿を祝う会」を開催したのは、通称「ケンモリ」、NPO法人「日本に健全な森をつくり直す委員会」(養老孟司委員長)です。11日に88歳の米寿を迎えるのを前に養老さんらが講演しました。

地震学者の尾池和夫さんの講演に続き、145人の聴衆の前に立った養老さん、まずは近況報告です。

10月下旬、「琵琶湖に採りに行った」という極めて珍しい小型の水生昆虫を紹介しました。捕獲した体長4ミリほどの小さな虫の標本を愛用の虫眼鏡とともに会場でまわし、訪れた参加者一人一人が見たこともない虫をじっくりと覗き込みながら話を聞くことができました。

養老さんが披露したのは、絶滅したとされていた水生昆虫の「キイロネクイハムシ」です。卵から成虫まで水中で過ごし、透明度の高い水が不可欠の極めて珍しい昆虫です。日本では1962年を最後に姿を消していました。それが2022年になって京都大学の研究者によって滋賀県の琵琶湖で再発見され、絶滅を免れ存続していたことが確認されたのです。

キイロネクイハムシの生息場所の様子(撮影:京都大学・加藤真名誉教授)提供:京都大学
水中でセンニンモの茎を伝って歩くキイロネクイハムシの成虫(撮影:京都大学・曽田貞滋名誉教授) 提供:京都大学

養老さんは、「子どもの頃から憧れていた虫」だと言います。1937(昭和12)年生まれの養老さんが20代の頃、国内では姿を消したとされてきた、いわば幻の昆虫。

養老さん
「現物を初めて見ました。年をとっても楽しいことはあるんです」