外交デビューで高支持率 

高市総理は政権発足早々から首脳外交を展開。マレーシアで開かれたASEAN(東南アジア諸国連合)の関連首脳会議に出席した後に帰国し、28日には訪日したトランプ大統領との首脳会談に臨んだ。

トランプ大統領が求める日本からの対米投資について、日本側はこれまでに約束していた5500億ドル(約80兆円)のうち60兆円分を「日本企業が関心を持つ事業」として公表。トランプ氏の歓心を得た。高市総理は日本の防衛費をめぐって、27年度までにGDP(国内総生産)の2%に増やすという計画を前倒しして、25年度中に達成すると表明、米側はこれも歓迎した。

高市総理はトランプ大統領とともに横須賀港を母港とする米原子力空母ジョージ・ワシントンの艦上で演説。高市総理は「世界で最も偉大な同盟」「日米の黄金時代」を強調した。高市総理が「安倍晋三元総理の後継者」とアピールしたことも、安倍氏と親密だったトランプ氏との距離を縮めた。

来日したトランプ大統領と原子力空母ジョージ・ワシントンで 10月28日

高市総理はさらにAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議が開催された韓国を訪問。李在明大統領との首脳会談では、日韓両国の首脳が頻繁に相互訪問する「シャトル外交」の継続などで合意した。

また、同会議に出席した中国の習近平国家主席とも会談。日中両国が戦略的互恵関係を推進することを確認した。高市氏を支持する自民党保守派の中には中国と韓国に強い姿勢で臨むべきだという主張が根強いが、高市氏は両国との初の首脳会談でタカ派色を封印。現実主義で対応した格好だ。

日中首脳会談 韓国・10月31日 

初の女性総理への期待や外交の舞台でのパフォーマンスは世論に好意的に受け止められ、内閣支持は高率となった。JNNが11月1~2日に実施した世論調査によると、高市内閣を「支持する」は82%、「支持しない」は14.3%だった。

ただ、国会での論戦が本格化する中で、高市総理の外交姿勢の危うさも浮かび上がった。

11月7日の衆院予算委員会で、立憲民主党の岡田克也元外務大臣は、安全保障法制の中で集団的自衛権の行使が容認される存立危機事態について追及。台湾有事に関連して、高市総理は「中国が戦艦を使って武力行使も伴うものなら存立危機事態になり得る」などと述べ、台湾有事での自衛隊の出動もあり得るとの考えを示した。

安保法制を制定した安倍総理以降の歴代総理は、自衛隊の武力行使の範囲については台湾を含めて具体的な地域への言及を避けてきた。

衆院予算委で存立危機事態と台湾有事について答弁 11月7日

高市総理の答弁に中国側は強く反発。11月14日には中国外務省が中国から日本への渡航を自粛するよう求める声明を発表した。日本の観光業などへの影響も懸念されている。

中国は台湾問題を「核心的利益」と位置付けており、この問題で譲歩するのは難しい。高市総理も国会答弁を撤回する考えはなく、この問題で日中関係は厳しさを増すだろう。

高市総理は11月22、23両日に南アフリカで開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席。台湾有事発言に関連して中国の李強首相と意見交換するかどうかが注目されたが、中国側が「会談の予定はない」と明言して、両首相の接触は実現しなかった。

11月26日には党首討論が開催され、立憲民主党の野田佳彦代表が台湾有事をめぐる高市総理の発言についてただした。高市総理は存立危機事態の認定について「具体的なことに言及したいとは思わなかった」と述べた。中国との関係については「対話を通じて、より包括的な関係を作り、国益を最大化するのが私の責任」と答えた。