依然として大きい、1980年代以前と比べたオゾンホールの規模

気象庁の分析では、今年のオゾンホールは7月下旬に現れ始め、9月9日にその面積が最大に達しました。オゾン層の破壊が深刻化する前の1980年代と比較すると、その規模は依然として大きい状態が続いています。

気象庁大気海洋部 資料より

気温条件がオゾンホールの発達に影響

オゾンホールの大きさは、南極上空の気象条件に大きく左右されます。2025年は、7月から8月にかけて南極上空の非常に冷たい空気が安定してとどまりました。

その結果、オゾン層破壊を加速させる特殊な雲「極域成層圏雲」が例年より多く発生し、オゾンホールが大きく発達する一因になったと考えられています。

この極域成層圏雲は、気温がマイナス78℃以下という極めて低い温度で発生します。

フロンなどが分解してできた塩素化合物がこの雲の表面で化学反応を起こし、春の太陽光を浴びることでオゾンを猛烈な勢いで破壊する「活性塩素」に変化するのです。

気象庁HPより

9月に入ると気温の低い領域が平均値より小さく推移し始めたため、9月9日に年最大面積を記録した後、オゾンホールの面積は縮小し、平均値より小さい面積で推移するようになりました。