「ストライクゾーンには苦手という感触はない」
牟禮:イチローさんの嫌いなコースってどこですか?
イチロー:ストライクゾーンにはないです。
牟禮:おーーー。
イチロー:ボールになるギリギリのところ、それでいうと距離がとれないインサイドの高いとこに速いのが来たら難しいな。それでも捉えに行かないので、ファウルで逃げる。それがあれば怖くないっていうスタンスでいるので、それを図っているんだよね。(相手投手の)真っすぐは、僕が変化球を待ってもファウルに出来るかどうか。「捉えられるかどうか」じゃなくて、それ(ファウルに出来るか)が凄い基準になる。そういう意味で言えば、追い込まれてからのここ(内角高め)は難しい。距離がとれないからね。ストライクゾーンをある程度カバーしないと、僕はヒットの人なので。ホームランバッターは狭めないと難しいじゃん。あっちもこっちも対応は出来ないので、そこは明らかに違うよね、僕のタイプとホームランの人と。ストライクゾーンには苦手という感触はない。
牟禮:変化球だったら自分はスライダー、逃げていくスライダーが苦手で、それをどうすればいいのか…。
イチロー:それを待った時に、どう?
牟禮:待った時にはファウルになったり(バットが)下から行ってファーストフライ、セカンドフライになったり。
イチロー:待っている時にどうなるのか、待ってない時にどうなるのかの違いが自分の中で明確にあるといいよね。どうしてもスライダーがベストピッチで、決め球のピッチャーで、必ずそれが来ることがわかってるならそれを待ちたい。それを待って、真っすぐに対応したい。捉えなくていいから、ファウルでいいから。そっちの方がいいと思う。今の話のイメージでいうと真っすぐを待っていると外でやられてしまう、確実に。だったらそれ(決め球のスライダー)を待って捉える練習、それを捉えだしたら待たなくても体がそれを表現するようになっていくと思う。
牟禮:ファウルでもいいからという感じですか?
イチロー:もちろん、もちろん。どうやってファウルにするかっていうのはあるんだけど、ファウル全然OK。それをしてたらだんだん合ってくるから、何(どんな球種が)来ても大丈夫な状態になると思う。ファウルを打てない人はそれがないもん。きっちり見逃す人は合っていくプロセスがないから打てるところ打てば行くし、そうじゃなければ見逃して終わり、それは僕はバッティングとは言えないと思うね。
牟禮:ミスショットを減らすためにはどうすればいいですか?
イチロー:ミスショットはします(笑)それがバッターですから。ミスショットしないためにこれをやっておけばいいっていうものは難しいよね。それは感覚的な問題だから。ミスショットが多いということは、それだけ自分の方が有利に進んでいるというか、その対決はね。やられた回数が少なければ全然大丈夫。
恒例となったイチローさんの柵越えで終了したフリー打撃。「(バッティングは)あくまでも形を大事に。(スローイングも)疲れてくると、どうしても腕を使うようになる。ゆっくりでもいいから、いい形で(スローイングしてください)。きょうはここまでになります。きょうのことを帰って一旦整理して、明日またやりましょう」と締めた。
1日目の指導を終えたイチローさんは「それは勝つよね。レベルが高い。少なくともこの秋の段階、この時期のチームとしては驚きましたね」と、チームのレベルの高さを賞賛。さらにこの日、再三に渡って絶賛した牟禮選手については「まさしく原石の状態なんですね。磨きが全くかかってないのに、今のこういう状態。伸びるところしかないじゃないすか。ダメになるところが何もない」と話した。「いや、楽しかった。こういう高揚感は久しぶりだもんね」と笑顔を見せた。

















