■容疑者の母と同じ教区に所属していた元信者は
元信者Aさん
「(献金は)今から思ったら脅迫やったね。その時はそんなに感じなかったけど。私以上の人もいたからね」
教団に入会したきっかけは、見知らぬ女性たちがある日、自宅を訪ねてきたことだった。

元信者Aさん
「手相を見てあげるよーって言われたかな」
記者
「その時には宗教ですよとは?」
元信者Aさん
「そんなん全然なし」

それから1年後、2005年に女性らから「旧統一教会」だと初めて明かされ、Aさんは入会した。子どもに障がいがあることや親族が離婚していることなどを理由に「献金すべきだ」と言われ続けたという。

元信者Aさん
「とにかくサタン。サタンがつく」
「先祖様が苦しんでいるからそれを助けてあげないと、家族みんなが苦しむと」
「金を積み上げていかないといけないということだよね、怖かったね」

いつしか山上容疑者の母親と同じように献金額は1億円を超え、およそ15年間で1億6000万円以上にのぼった。

献金以外に、Aさんが教団の信者に誘われて購入したものもある。ブランド名は「クリスティーナ ハン」。現総裁の韓鶴子氏がデザインしたと説明を受けた。

元信者の女性Aさん
「宴の時、735万。これが105万。これが150万やった」
「娘にプレゼントするのに買え買え言われた」

Aさんが信者だった頃に使っていたノート。教団の教えなどはほとんど記されていなかった。書かれていたのは献金や宝石購入の時期、その金額ばかりだ。
息子の説得もあり、Aさんは入会からおよそ15年後に脱会し、これまでの献金を返すよう教団に求めた。すると、教団から「ある文書」が手渡された。
山上容疑者の母親と同じ時期に奈良の教区に所属し、献金を重ねた元信者の女性。およそ3年前に脱会し、献金を返すよう求めた。

すると教団側は「献金詳細」なる文書を提出。そこには「世界貢献」「先祖解怨」などの名目で7000万円あまりが献金されたと記載されていた。Aさん側は1億6000万円余りを献金したと主張したが、その7000万円の返金で合意した。
Aさんの息子
「返金の時のやりとりなのですが、母が信仰を持って献金をしたということではなくそれを確かめもせず、どんどんどんどんお金をお願いしたのは申し訳なかったと認めた」
実際の交渉のやり取りが教団担当者の許可を得て録音されている。

旧統一教会・担当者
「心を傷付けることがあったと思うんですけど、このような状態になってしまって、そういうふうに申し訳ないなと思う」
「本当に心の深いところまでできずに、急いできたところがあったのは事実かな」
一部は返金されたが、Aさんの長女とは献金が原因で絶縁状態になり、家族関係は崩壊したままだ。

Aさんの息子
「(一部の献金が)返ってきたからと言って彼らを許せるとか、彼らに対して理解ができるとか納得したと言うことは全くなく」
「被害を受けた心、被害を受けた家族、被害を受けた年数というのは返ってこない」
山上容疑者の母親と同じように家族の病気などを持ち出され、多額の献金をしていた実態。
長年、旧統一教会の問題に取り組んできた加納雄二弁護士は…

全国霊感商法対策弁護士連絡会 加納雄二弁護士
「人の不安を煽って、限りなく財産を収奪する。やめれば地獄に落ちるということで、教団に縛り付ける」
「先祖の霊が霊界で苦しんでいるから、不幸が起こったし、これからも子供や家族に不幸が起こるということで、先祖を救うために献金をしなければならないということなんです」
「そこに(信者の)自由意志などが働く余地は全くありません」