■山上容疑者はなぜ… 旧統一教会との30年

2022年7月8日。奈良市の近鉄「大和西大寺駅」北口近くで、多くの支援者らが集まる中、安倍元総理が来たる参議院選挙に向け演説を行っていた。その時だった。2回の爆音が響き渡り、安倍元総理はその場に倒れた。

すぐに奈良県警の捜査員に取り押さえられた山上容疑者。その手には、筒2本を黒いビニールテープでぐるぐる巻きにして作られた手製の銃が握られていた。

山上容疑者の自宅に入る警察の爆発物処理班。家賃4万円ほどの6畳弱の一室からは、少なくとも手製の銃5丁と火薬などが見つかった。その異様な部屋を捜査員らは「武器庫」と呼んだ。

1980年に生まれ、奈良市内で育った山上容疑者。中学時代はバスケットボール部の主力メンバーで、高校は県内有数の進学校に進み理系を専攻、応援団に所属した。

中学時代の同級生
「成績優秀で真面目でした。すごく良い人柄でみんなから尊敬されていたと思います」

高校時代の同級生
「どちらかというと物静かでおとなしい感じ」
ごく普通の生活を送っていたように見えるが、当時のことをツイッターにこう綴っている。

山上容疑者
「オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた。統一教会の本分は、家族からアガリを全て上納させることだ」
これまでの取材によると、1991年、山上容疑者が11歳の頃に母親は旧統一教会に入会した。献金を重ねる母親について山上容疑者は…

山上容疑者
「オレは母を信じたかった」
「言葉では心配している、涙も見せる、だが現実にはどこまでも無関心。こんな人間に愛情を期待しても惨めになるだけ」
母親は事件後、 山上容疑者の伯父のもとに身を寄せた。

山上容疑者の伯父・2022年7月
「入会動機。昭和59年末に夫が自殺している。長男は抗がん剤投与によって右目を失明している。その頃は、母親がフラフラだった」
母親はどのようにして、教団にのめり込んでいったのか。大学の友人が、私たちの取材に証言した。

母親の大学の友人
「(大学時代は)かわいい感じの人で素直なお嬢さんですよね。お金持ちだったのは確か」
大学卒業から20年ほどが経ったある日、その印象は変わったという。

母親の大学の友人
「夫が自殺して、家庭がとっても苦しかったけど、宗教で救われた」
「初めてその宗教のビデオを見て涙が止まらなかった」
「やめたほうがいいんじゃないという話をしたと思うんですけど、彼女は心酔しきっていた」
母親は奈良の教区に所属。献金は総額1億円を超え、山上容疑者が21歳のころ2002年に自己破産した。
私たちは山上容疑者の母親と同じ時期に奈良の教区に所属し、多額の献金をしていた元信者に話を聞くことができた。