2024年は夏の期間が133日間に延びていた

では、それぞれの季節の期間は実際にどれだけ変化しているのか。編集部では滝川さんの研究データを基に、1983年から2022年までの40年間について、20年ずつ前半と後半に分けて季節ごとの長さの平均を出した。さらに、滝川さんが解析した2023年と2024年それぞれの季節の長さとも比較した。それが次の表だ。

まず前半の「1983年から2002年の平均」と、後半の「2003年から2022年の平均」を比べると、夏の開始日は5日前倒しになり、終了日は4日遅くなっていた。その結果、夏の期間は102日間から111日間へと延びた。

続いて、滝川さんが解析した2023年のデータと「2003年から2022年の平均」を比べると、夏はさらに長くなった。夏の開始日は7日前倒しになり、終了日は3日遅くなったことで、期間は121日に延びた。2023年の春が極端に長いのは、年によるばらつきがたまたま大きくなったためと考えられる。

さらに、滝川さんによる2024年の解析結果では、夏の期間はなんと133日間にまで延びた。夏の開始日は前年より3日前倒しになり、終了日は9日遅かった。実に1年の3分の1以上を夏が占めていたことになる。しかも、「1983年から2002年の平均」と比べると、夏が1か月も長くなっていた。

2024年の夏が長くなった理由について滝川さんは「北から流れてくる冷たい親潮を抑えて、黒潮がどんどん北上したことで、日本周辺の海が温められた影響が出たと考えられます」と話している。

また、冬の期間について“前半”、“後半”と2023年を比べてみると、若干短くなっているように見える。滝川さんに見てもらったところ、「解析している領域に陸とともに、温かさを保持しやすい海も含まれていることから、冬が短くなっているのではないかと考えられます」と分析。一方で「夏が延びた期間と比較すると、冬の期間の縮まりは小さくなっています。温暖化の影響で一度に大量に降るドカ雪は増加するという予測もありますので、夏はより長くより暑く、冬は寒いままであるという解釈もできます」と指摘した。