「知的生命体の関与」の噂とNASAの見解

「3I/ATLAS」が太陽系外から飛来したことから、その正体をめぐっては「エイリアンの宇宙船ではないか」「知的生命体の関与があるのではないか」といった噂や憶測が一部で飛び交いました。

これに対し、日本時間の20日朝に開いた会見でNASAの担当者は「あらゆる科学的な仮説を歓迎する」としつつも、観測データに基づき、その可能性を明確に否定しました。

NASAの会見 NASA YouTubeより

NASAの担当者は、「発見直後に、人工的な技術の証拠がないかを確認したが、そのようなものは一切見られなかった」と説明。「すべての証拠が、これが彗星であることを示している」と結論付けました。

NASAの観測データによると、「3I/ATLAS」は太陽系の彗星と同様に、太陽に近づくにつれて核からガスや塵を放出し、「コマ」と呼ばれる雲や尾を形成していることが確認されています。

一方で、放出される二酸化炭素と水の比率や、ニッケルと鉄の量が、太陽系の一般的な彗星とは異なることも判明しました。

NASAの研究者は、この違いを知的生命体の証拠ではなく、「形成された環境の違い」であると説明しています。

NASA YouTubeより「コーヒーの違いのようなもの」と説明する研究者

会見の中で研究者は、「ハワイのコーヒーとスマトラのコーヒーの味が違うようなもの」と例え、育った環境(星系)が違うために性質に差はあるものの、あくまで自然に形成された「彗星」であると解説しました。

12月に地球に最接近 今後の観測予定

「3I/ATLAS」は、12月半ばに地球に最接近し、約2億7,400万キロメートルまで接近する予定です。これは地球と太陽の距離のほぼ2倍に相当し、地球に衝突する危険はありません。

NASAは、「3I/ATLAS」が太陽系を旅し、2026年春に木星軌道を通過するまで、観測を継続する予定です。