なぜ事故が起きたのか

まず花火大会は前年まで明石市役所付近で開かれていましたが、周辺の交通規制による渋滞が激しくなったため、この年から駅の南側にある大蔵海岸に会場が変更となっていました。

前年の場所は明石市役所だった/変更場所になった大蔵海岸

大蔵海岸の最寄り駅であるJR朝霧駅へは、国道2号線を渡ることになりますが、付近には歩道橋が1本のみ。そこに人が集中してしまいます。

国道をまたぎ、海岸から駅に架かる歩道橋

そして事故の起きた歩道橋の構造自体に重大な盲点がありました。

この歩道橋は長さが103.7メートル、幅が6メートルですが、階段手前部分の幅が狭く、滞留が生じやすいボトルネック構造だったのです。これでは混雑時に人の流れが悪くなるのは当然であると言われています。

橋自体の幅が6メートルあるのに対し、階段の幅は3.2メートルしかない

事故直前の歩道橋上には約6,000人以上の人がいたとみられ、両方向からの人の流れでごった返し、1平米あたり13人~15人が密集していたと推定されています。その結果、対向流を生じさせたとみられます。

対向流とは互いに向き合う歩行者の集団が交錯すること。進むことも戻ることもできなくなり、逃れることが難しい群衆雪崩がおこります。こうして悲劇は起きてしまいました。