1970年、日本は初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げに成功し、世界で4番目の衛星打ち上げ国となりました。開発を担ったのは国家機関ではありません。あの日産自動車と東京大学宇宙航空研究所。限られた予算と設備のなかで何度も失敗した末につかんだ栄光でした。(アーカイブマネジメント部 疋田 智)
日本初の人工衛星は民間の力で
1970年2月11日、日本初の人工衛星「おおすみ」が鹿児島県内之浦から打ち上げられ、日本は世界で4番目の人工衛星打ち上げ国となりました。
開発を担ったのは、日産自動車と東京大学。直径31センチ、重さ24キロの小型衛星でした。
この小型衛星は宇宙空間での温度や通信データの取得を目的とした実験機でしたが、衛星本体以上に重要視されたのは、それを軌道へ運ぶロケット技術でした。
失敗に次ぐ失敗の末に
打ち上げは決して順調ではありませんでした。
1966年から69年まで4回連続で失敗し、姿勢制御や点火タイミングなど多くの課題が噴出。計画中止の声すら上がりました。
じつは日本のロケット打ち上げには大きなハンディがあり、技術者はそこをクリアしながら打ち上げなくてはならなかったのです。そのハンディとは「誘導制御装置」の有無でした。














