前回2位の積水化学若手の中心選手、山本有真(25)がV奪還に意欲を見せている。クイーンズ駅伝(第45回全日本実業団対抗女子駅伝)は11月23日、宮城県松島町文化観光交流館前をスタートし、弘進ゴムアスリートパーク仙台にフィニッシュする6区間42.195kmコースに、24チームが参加して行われる。
積水化学はこれまで新谷仁美(37)、佐藤早也伽(31)らが主要区間を走り、5年連続2位以内を続けて来た(21、23年に優勝)。今年は昨年まで2年連続2区(4.2km)区間賞の山本や、大物ルーキーの山﨑りさ(23)が、主要区間出場に意欲を見せている。東京2025世界陸上5000mで印象に残る走りをした山本は、どんなスタンスで駅伝に臨もうとしているのだろうか。
田中希実のペースメーカーを買って出た理由とは?
9月の東京世界陸上5000m予選1組。スタートして間もなく、山本は先頭に立った。スローペースで進みラストスパートだけの勝負になったら、日本人選手には不利となる。昨年のパリ五輪でも山本は先頭を走っていることからも、想定内の展開といえた。1000m通過は2分57秒28、2000mを5分59秒90と、自己新となる14分台を狙えるペースで山本が走り、もう1人の日本選手の田中希実(26、New Balance)が山本の背後に付いていた。
2600mからは田中が先頭に出て、4700mまではトップを走り14分47秒14の5位で予選を通過。一方の山本は15分36秒29の18位で、予選を通過することができなかった。山本にとっては悔しい結果のはずだったが、レース後の山本に落ち込んでいる様子はなかった。実は田中のペースメーカー役を、山本の方から買って出ていたのだった。日本代表として出場したレースで、他の選手のために犠牲となって走る。普通ではあり得ないことだが、山本の状態や“気持ち”を考えると悪い策ではなかったようだ。

















